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 Photo essay <入間川写真紀行>

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2006.2.2(木)晴れ。寒い。入間川四番、落合橋。九時から十二時半。

落合橋北詰から、橋の下へおりる。先日は、土留めコンクリで、ホームレスが日向ぼっこをしていた。今日は誰もいない。





左岸、越辺川の土手を、川カミへ向かって流す。途中で、土手をななめ下り、荒れた河川敷耕作地の中を行く。道なりに、ゆっくり走る。じきに、小畔川との合流点。行き止まり。ちょっとした広場。机や椅子などが置かれている。釣人のアジトなのか。辺りの様子を見ながら、外にでる。人の気配はない。ただし、深い竹やぶの中に、小道がある。ホームレスが住んでいるかもしれない。

写真は一枚も撮らない。すぐに引き上げ。探検、というわけだ。帰り道は気分をかえ、小畔川の土手を川カミへ向かって、突っ走った。






2006.2.4(土)晴れ、強風。今年最大の寒波。水道管が凍る。入間川四番、落合橋。九時から十二時。

少し風邪気味。寒い中へ出て行くのが、ためらわれる。とはいえ、外は、ぬけるような青空。行くしかない。

入間川右岸流域、山田、府川地区へ行く。強風。話にならないほど寒い。ものの五分と、外にいられない。指がかじかむ。車に、入ったり出たりしながら撮る。どれもみな、なじみの景色だ。





移動。釘無橋を渡り、左岸流域へ行く。正確に言えば、越辺川の左岸流域で、川島町の角泉、安塚地区。工事中の安藤川に沿って、広大な農地を、さらに北進する。産廃の山、鉄塔、中学校、町役場、カントリーエレベーター、ほかにも、目に付くものがたくさんある。

きりがないので、適当なところで車を止める。広い農道。目の前に鉄塔がある。西側には外秩父の山並。紫紺の屏風だ。またひとつ、撮影ポイントが増えた。





帰りに、爆発市場へ寄った。初めて入る店。上広谷にあるリサイクルショップで、でかい倉庫に、品物があふれている。衣服も山のようにあった。冷やかし半分、小一時間みて回った。物はいいが、銘柄の定かでない、紺のチノシャツを一枚買った。五百八十円の五割引で、二百九十円。タダみたいなものだ。

帰宅後、すぐに試着。肩が、若干下がっているが、袖丈はぴたり。使用感もなく、着心地もいい。襟タッグの「GIAN MARKO VENTURI」をネットで調べた。ミラノのブランドで、香水や時計のデザインで有名らしい。やっぱりな。内心、ほくそえむ。ギャンブルに買ったときのような爽快感を覚えた。





2006.2.5(日)晴れ。強風。引き続き最大級の寒波。寒くてしょうがない。入間川四番、落合橋。九時から十二時。

一気に、釘無橋まで走り、安藤川沿いに到着。日曜日だから、工事はお休み。その間隙をぬって、工事中の小橋などを撮ろうというわけだ。

安藤川。農業用水のような、小川だ。それを、大改修している。川幅を広げ、護岸を深く削り、なおかつ、百メートルおきに、コンクリの小橋を架けている。首をかしげた。どうみても、土建屋を儲けさせているようにしか見えない。

この辺りの農地は、土地改良がきちっとなされている。だから、だだっ広いだけで、ポンプ小屋ひとつない。そんな中にあって、産廃の小山がふたつ、ひときわ目に付く。しかも、手前には崩れかけたポンプ小屋。ここだけ、何か様子がちがう。これはもう、撮るしかない。





移動。のっぺらぼうな農地を、縦横に走り回る。きりがない、町役場の辺りで、戻ることにする。広い新道に出る。脇に、コンクリの橋脚が並んでいる。圏央道の橋梁工事らしい。なるほど、これが、小沼地区まで続いているのか。今度は、工事中の橋脚に沿って、走り出す。もっとも、現場には入れない。つかず離れず、遠目に見ながら、ポイントを探した。





帰宅後、いつものように、画像の選択、加工、そして、昼寝。ま、ここまではいい。夕方の五時前に起きる。辺りは暗くなっていた。寝起きの頭で考えた。きのう見た、コムサの黒のジャケットを、なにかの時のために買っておこう。なにせ、六百円だ。ほかにも、まだ、ジャンマルコのシャツや、チョウヤのワイシャツがあったはずだ。

急いで着替えをすませ、爆発市場へ向かった。二匹目のドジョウをねらったわけだ。それにしても、どうかしている。衣服への執着心。物狂いとしか言いようがない。





2006.2.7(火)曇り。寒い。夕方になって晴れる。入間川歩行はお休み。

一日中、アトリエにこもって、写真紀行の制作。たまりに溜まった原稿を書く。





2006.2.9(木)晴れ。強風。寒い。入間川四番、落合橋。九時から十一時。

釘無橋を渡り、安藤川沿いに走る。広大な農地を縦横に走り回り、景色を探す。とはいえ、寒い。早々に引き上げ。






2006.2.11(土)晴れ。強風。寒い。入間川三番、釘無橋。九時から十時。

右岸、橋際の土手に車を止める。なじみの雑木と石碑を撮る。このまま、土手道を川シモへ向かいたいところだが、あいにく工事中。三月なかばまで、通行禁止。それに寒い、ということもあるが、頭の中は、ダウンベストのことでいっぱい。すぐに引き上げ。





昨晩、ネットで、ダウンベストの値段を調べ上げた。高いもので五万円、安いものは、一万円前後で買える。中でも、とくに目を引いたのが、クレセントのイタリアンベスト。特価で二万円を切っている。正価が二万五千円だから、二割引。買い時だ。どうしても欲しい。衝動を抑えきれない。

依然として、興味の中心は衣服。写真紀行に身が入らない。いったい、どうしたというのだろう。





2006.2.12(日)晴れ。強風。寒い。入間川歩行はお休み。

朝から川越水上公園のフリーマーケットへ行く。ロクなものがない。それでも、柄物のカーデガンを四百円で買う。午後は、爆発市場へ行く。ここのところ連日、足を運んでいる。衣料品が七割引ということもあり、とことん買いあさる。我ながら、あさましい。





2006.2.14(火)晴れ。あたたかい。春の陽気。入間川三番、釘無橋。九時から十一時。

右岸流域の農地を南進する。菅間、谷中、石田本郷、北田島地区。農閑期のだだっ広い、のっぺらぼうな空間。ほとんど何もない。縦断する伊佐沼代用水路も枯渇していた。





風もなく、いい天気だ。歩行日和、といってもいい。それなのに、気乗りしない。早々に引き上げ。





朝一番で撮った写真。上寺山用水堰。水鏡。青い、静かだ。





2006.2.16(木)小雨。一日中、ふったりやんだり。入間川歩行はお休み。

久しぶりに、降った。春の気配がする。午前中は雑用。午後になり、たまりに溜まった写真紀行の原稿を書く。とはいえ、気合が入らない。帳尻を合わせただけだ。





2006.2.18(土)晴れ。さほど寒くない。入間川三番、釘無橋。九時から十一時。

先日の続き。北田島のカントリーエレベーターから、さらに南進。伊佐沼代用水に沿って走る。ほどなく行き止まり。迂回して、伊佐沼に出る。

久しぶりの伊佐沼。水が少ない。湖中の屋形船は、まだ健在。ただし、渇水のため、鉄パイプで組んだ足場があらわになっている。しばらく眺めていたが、明かりの具合からして、撮りようがない。

氷の張った水面。朝日が差し込む。逆光のなか、屋形船を、画面いっぱいに取り込んで、撮った。2001年の真冬。悲劇の予兆すらなかった。まだ、幸せだった頃だ。

南側に車を回す。太陽を背にする習慣がついている。フィルムカメラで撮っていた頃には、思いもしなかったことだ。

岸際の歩道に、丸太と番線の柵ができている。車を横付けできない。しかたなく、道路に止める。

南岸から撮ったことは、ほとんどない。湖面が広がっているだけで、ほとんど絵にならない。以前、何回か試みたが、すべて駄目だった。ところが、今日はちがう。歩道の、裸の柳が目に付く。あれを手前に入れて、青い空と湖面を撮る。





写真のウデが、少し上がったようだ。撮れなかったものを、撮ることができるようになった。






2006.2.19(日)曇り。入間川歩行はお休み。

午前中に写真紀行を書く。あとは、買い物へ行ったり、テレビを見たりと、終日、所在無く過ごす。

向こう一週間の天気予報。すべて、曇り。まだ二月だというのに、季節の変わり目。今年は、春が来るのが、早いかもしれない。秩父颪に澄み切った青空。また、来年だ。





2006.2.21(火)曇り。入間川歩行はお休み。

衣服への関心も、ようやく下火。とはいえ、終日、所在がない。写真紀行に身が入らない。





2006.2.23(木)晴れのち曇り。入間川三番、釘無橋。九時から十一時。

釘無橋から、右岸の土手が工事中。どんな様子なのか、見に行こう。ところが、上がり口が、どれもこれも通行止め。けっきょく、芳野台の野球グランドの駐車場に車を止め、歩いていくことになった。

土手の階段を登り、なじみの水門の前に立った。すぐ横に案内板がある。釘無橋から入間大橋までの築堤工事。三月半ばまで、一般車は全面立ち入り禁止。なるほどね。あらためて、広大な川原を見回した。ダンプが、ひっきりなしに行き来している。荒れた河川敷耕作地は一掃され、きれいに整地されてしまった。運動グランドでもつくのだろうか。それにしても、景色が一変してしまった。

以前、この辺りは、どんな様子だったのか。とっさには、思い出せなかった。たしか、雑草に覆われた、荒地だ。何本か、雑木もあった。芳野台の煙突を左端に入れ、青い麦畑を撮ったような気もする。

データベースの中に残る入間川の風景。休耕田に、キツネアザミが繁茂していた。不安定な空模様。一瞬、青空が見えた。まだある。台風一過。川原が水浸し。セイタカアワダチソウだけが、泥水の中に踏みとどまっていた。おりしも、雲間から青空。

環境の変化により、風景が変わる。もう、二度と見ることができない。いや、感傷的になることはない。風景も、刻一刻変わっていく。「無」でなくて「空」だ。悲しむな。





2006.2.25(土)晴れ。寒さが和らいだ。入間川三番、釘無橋。九時から十一時半。

最大級の寒波には、スキーウェアーと防寒着の重ね着で対抗してきた。それでも、指先、耳、顔が凍りつくようだ。ものの五分と外にいられない。正直言って、写真撮影どころではない。

今シーズンの冬ほど、寒かったことはない。入間川歩行とは名ばかりで、ほとんど歩くことがなかった。無理して風邪でも引いたらどうするんだ。車で移動し、窓越しに、撮ることが多かった。

釘無橋を渡った。北詰までいき、橋際の土手に車を止めた。やっと、あたたかくなった。橋の上を歩こう。外に出た。ところが、おもいのほか、風が冷たい。用心のため、スキーウェアーの上に、防寒着を着込んだ。

川カミの景色を見ながら、橋の上をぶらぶら歩いた。着込んでいるせいか、もう、寒くはなかった。冬も終わりだ。

橋の下に下りた。土手が、うっすら緑色になっている。その斜面に、石仏がたっている。先日は撮りそこねたが、今日は撮れたような気がした。





移動。河川敷耕作地の廃車を見に行く。腐食したブルーのダットサン。運転席に、ゴミ袋が投げ込まれている。それに、フロントマスクが、ほとんど破壊されてしまった。脇の櫟も丸裸。とはいえ、殺伐とした感じではない。春の気配がする。気分がいい。






2006.2.26(日)朝から雨。一日中降っている。入間川歩行はお休み。

この時期の雨は、通常、雪になる。そうならないのは、やはり、気温が高いからだろう。冬が早く来た分、春が来るのも早い。ひと雨ごとに暖かくなる。もう、寒波が来ることもないだろう。





2006.2.28(火)曇り。入間川歩行はお休み。

衣服への興味も、やや下火。終日、所在無い。





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