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 Photo essay<入間川写真紀行>

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2005.1.1(土)晴れ。ぬけるよう青空。入間川歩行、番外、八瀬大橋等。九時半から二時半。

昨日は、午後から大雪だった。久しぶりに、かなり積もった。夕方にはやんだので、道路の雪かきをした。

薄暗くなった空を見上げた。なんとなく赤い。不吉な感じだ。はたして、明日は晴れるのだろうか?

翌朝七時、窓を開けた。空が青い。空気が澄んでいる。身震いするほどの寒さだ。雪の翌日は快晴。やはり、まちがいのないことだった。いそいそと、写真撮影の準備をはじめた。道が凍っているから、遠くには行けない。入間川歩行は中止にして、今日は、雪景色を撮りにいこう。

八瀬大橋を渡ると、左側にコンビニがある。許可を得て、駐車場に車を止める。橋の上を歩く。交通量は少ない。さすがに元旦の朝だ。カミ側の路側帯から川カミを撮る。左のほうに富士山が見える。中腹に、雲がかかっている。シモ側の歩道に渡る。川シモを撮りながら戻る。橋の下におりて、電信柱や土管を撮る。廃線にそって歩きだす。給水橋をくぐる。土手にあがる。と、視界が開けた。山並みがきれいだ。

十二時になっていた。メモリーがいっぱい。いったん自宅に戻る。画像をパソコンに入力して、メモリーを空にする。

入間川大橋のたもとへ急ぐ。橋の上から、雪景色を撮る。一時、安比奈親水公園へ行く。赤い給水橋を撮る。二時半、引き上げ。

久しぶりの大雪。久しぶりの写真撮影。一年の始まりを、いい形でスタートできた。今年こそは、天から与えられた時間を、有意義に使おうと思う。








2005.1.4(火)晴れ。ぬけるような青空。風もなく、真冬としては、比較的あたたかい。入間川歩行二十三番、八高線鉄橋。九時半から十二時。

鉄橋を撮る。ついでに、渇水で、川床が露出している、右岸の河原を歩く。加治橋のほうへ向かっている。途中からは、波消しブロックの上を歩く。これといった景色はどこにもないが、驚くほど、水が澄んでいる。そういえば、鉄橋下の水たまりに、小魚が群れ作っていた。これまた、驚くほどの数だった。

穏やかな日だ。

車に戻ったときには十二時を回っていた。昼飯をどこかで食べていこうか?いや、どうも食欲ない。アトリエに戻って、そばをゆでよう。ところがだ、帰ったとたん、吐き気に腹痛だ。今年の風邪の特徴らしい。何も食べないで、すぐに寝てしまった。






2005.1.11(火)晴れ。昼から雲が多くなる。入間川歩行二十二番、阿須運動公園。九時半から十一時半。

近くの池に寄る。薄氷が張っている。陽を受けて、きらきら光っている。ところが、まぶしすぎて、正視できない。サングラスをかけているのだが、ぜんぜん役に立たない。すぐに、撮るのをやめた。

池の周りを歩きながら想った。以前は、あれを、サングラスなしで、写真に撮っていた。もっとも、そのせいで、左目が駄目になったわけじゃない。なにせ、利き目は右目だ。

眼発作が、いつ右目に来るのか?一時は、そんなことを考えて、気分が落ち込んだ。しかしいまは、右目が見えていることに感謝している。いまだに視力が1.2あり、モノがちゃんと見えている。これを、天からの啓示と考え、写真撮影に邁進しなさい。まじめに、そう思ったことさえある。

池の反対側に回り込んだ。氷の表面に、真向かいの鉄塔が、あやふやに映っている。これなら、目に優しい。サングラスをはずし、じっと見つめる。

池の氷が青い。冬ばれの、ぬけるような青空を写している。目が悪くならなければ、けっして、気づくことのなかった色あいだ。



近くの川。名前は小畔川。入間川の支流。





2005.1.13(木)晴れ。ぬけるような青空。風は冷たい。入間川歩行二十一番、中橋から上橋。九時半から一時。

中橋からの眺めは、入間市の、景観50選に選ばれている。広い河原の向こうには鉄橋があり、彼方の山並みが、手に取るように見える。たしかに、いい景色だ。とはいえ、これを、写真に撮るとなると、かなり難しい。明かりの問題もあるが、それよりも構図だ。幾度となく撮っているが、決定的なものがない。

橋の歩道を、カニ歩きしながら、絵になるような構図を探っていると、初老の女性から声をかけられた。ここからの眺めが、好きなのだという。そういえば、じっと、川カミの景色を眺めている女性を、何度か、見たことがある。

ちょっと先の、阿須の運動公園でも、散歩中のおばさんたちが話していた。ここからの景色が好き。だから毎日、ここを通っていく。こちらも、青い川のさきには、鉄橋があり、青空を背景に、山並みが悠々としている。前が、ぐっと開けた景色だ。

広々としたところは、気持ちがいい。気分がスカッとする。心の憂さを晴らしてくれる。どうやら、このことは、ほかの人間達も感じていることらしい。風景の普遍性、とでもいっておこう。

心に秘めている入間川の風景が、そこに住む人たちにとっても、かけがえのないものだということを、あらためて知った。気持ちが、ふと、和んだ。

風景を、朝に晩に、いとおしんで、眺めている人たちがいる。その同じ風景を、自分は写真に撮って、ことあるごとに、眺めている。そんな時、過ぎ去った時間や出来事を、思い出すこともある。気持ちが清々して、元気になることもある。はたして、ほかの人たちは、風景の前で、なにを想っているのだろうか?人様の心の中が、少しだけ、気にかかった。






2005.1.20(木)晴れ。昼からは雲が多くなる。入間川歩行二十二番、阿須運動公園。九時から十二時。

丘に登る。

運動公園の向かい側には、体育館や野球場などがある。さらにその奥には、公園もある。普通の公園ではない。風変わりな建物が、丘の斜面に点在している。メルヘンチックな感じのするところだ。なんでも、有名な美術家の設計した公園らしい。

中を通り抜ける。急な階段の脇に案内板。ここからは、ハイキングコースだ。足もとが、少しぬかるんでいる。横着して、登山靴を履いてこなかったことを後悔した。しかし、いまさら引き返すわけにもいかない。慎重に登り始める。と、すぐに心臓がドキドキしてきた。それに、足が上がらない。息が苦しい。ぜいぜいしながら、それでも頑張ったが、駄目だ。階段の途中で一息ついた。

まだいくらも登っていないぞ。

自分を叱咤激励して、また登り始める。苦しい。苦しい。腿の筋肉が引きつっている。立ち止まる。そんなことを何回か繰り返す。体力が、極端になくなっている。急な階段とはいえ、これしきのことで、なさけない。

登りきったところは、少し広くなっていた。案内板があり、左は仏子方面、右は行き止まり。はてな?展望台があると聞いていたのだが、それらしきものは見当たらない。

木の柵に沿って、崖っぷちを、行き止まりまで行く。眼下には入間川、飯能の市街地も手に取るように見える。いくらか高いせいか、外秩父の山並みもぐっと迫ってくる。いい景色にはちがいない。が、いかんせん、雑木が邪魔をしている。枯れ枝の隙間から景色を見ているわけで、とうてい写真にはならない。とはいえ、せっかくここまで来たんだ。かなり粘って撮る。

戻る。柵に沿って、なおも崖っぷちを歩く。未練たらたらで、視界の開けたところを探している。急な登りで、滑りやすい。柵にしがみつきながら行く。しかしけっきょく、視界のある所はなかった。崖っぷちにおさらばして、少し下る。下のほうに、舗装した道が見えたからだ。これは、自転車道だろう。左に行けば、仏子の音大の近くに出るはずだ。とはいえ、右へ行くと、どこへ出るのか、こっちのほうは皆目見当もつかない。少し行きかけたが、あまり気乗りしない。

なにも、ハイキングをしにきたわけじゃない。

分かれ道に、案内板。やはり戻ろう。一面枯葉の道を行く。人の気配は、まったくない。見上げると、葉のすっかり落ちた木々の枝が、青空に向かっている。立ち止まり、一枚だけ撮る。気分は、さほど悪くない。






2005.1.22(土)晴れ。ぬけるような青空。風は冷たい。入間川歩行二十番、新豊水橋。九時から一時。

山並みがきれいだ。雪をかぶって白くなっている。奥秩父の山々だ。寄り道をしよう。

川越市場の裏手に回りこんだ。冬枯れの田んぼが広がっている。所々に、電信柱があり、対岸の、青色の生コンプラントもみえる。

視界の左端には、真っ白な富士山が、民家に挟まれている。なじみの山並みは、そこから、少し間をおいて始まる。きれいな稜線だが、途中、腰掛のような形の、ぼこっと突き出た山がある。御岳山だと聞いたが、定かではない。さらに視線を動かす。正面に、お目当ての、雪をかぶった山々がある。葉の落ちた木々が、手に取るように見える。なおも視線を動かす。外秩父の山並みだ。その上の、ちょこんとした三角の山が、武甲山。これも目に付く。一番右端は、笠山。通称、おっぱい山。その名の通り、素敵な形をしている。

しょっちゅう目にしている山並みだが、個々の山の名前は、ほとんど知らない。調べてみようという気にも、あまりなれない。関心があるのは、山の見える風景であって、山、そのものではない。

遠くの山並みに、視線をはね返される。と、妙に心が安らぐ。守られている感じがするのだ。もっとも、山並みの向こうへの興味もある。あの向こうには、いったい、なにがあるのか?水平線や地平線のある風景を見たときにも、よく想うことだ。

入間川の、だだっぴろい河原で、時々、ぐるっと四方を見渡すことがある。西は山。北は平野。東と南には川がある。自分が、関東平野の西側に棲息していることを、あらためて実感する。山や川が、厳しい自然から、はたまた、都会の喧騒から、この身を守ってくれている。

驚くべき洞察だ。






2005.1.30(日)。ここのところ、HPページの作成に没頭している。何回かは、入間川に出て、写真を撮ったりもしたが、覚書すら書いていない。ほとんど、うわの空だ。ま、それでも、画像だけは、選択保存している。だから、日時と歩いた場所だけは、確定できる。画像だけも挿入しておこう。いまは、書くのが億劫だ。

2005.1.27(木)晴れ。入間川十八番、豊水橋。






2005.1.29(土)曇り。入間川十九番、笹井の堰。






2005.1.30(日)晴れ。入間川十七番、広瀬橋。






2005.2.1(水)晴れ。寒い。風が冷たい。入間川十六番、本富士見橋。九時から十一時。

相変わらず、ホームページの制作に没頭している。気分が、ハイだ。こんなことは、めずらしい。

冬ばれの、いい天気が続いている。だが今日は、雲が多い。それも、大きな千切れ雲だ。秩父の山並みを越えて、次々にやってくる。写真を撮っていると、その雲が太陽にかかる。あたりが暗くなる。シャッターを切ることができない。そんなことが、何回か続いた。

空を見上げた。雲の大群が、あとからあとから、押し寄せてくる。壮大な眺めだ。






2005.2.8(火)朝から小雨。アトリエにいる。

先週の、木、土、日の午前中は、入間川に出て、写真を撮っている。とはいえ、覚書すら書いていない。ホームページの制作のことで、頭がいっぱいなのだ。

カワセミが、浅瀬の小魚を狙って、何回も水の中に飛び込んでいる。水門近くでは、イキのいい鯉たちが、しなやかに泳いでいる。ぬけるような青空の下、寒風の河原には、ホームレスがいる。水辺近くで、仰向けになって寝ている。そばで、茶トラの猫が寄り添っている。

いろいろなことを見聞きしている。しかしいまさら、記述する気にもなれない。画像だけでも挿入しておこう。





2005.2.3(木)晴れ。入間川十六番、本富士見橋。







2005.2.5(土)晴れ。入間川十五番、新富士見橋。まともな写真が一枚もない。





2005.2.6(日)晴れ。入間川十四番、昭代橋。








2005.2.10日(木)晴れ。昼からは雲が多くなる。入間川十三番、狭山大橋。九時から十二時。

文章が粗くなっている。これは、HP制作のことで、頭がいっぱいだからだ。とはいえ、そのHP制作も、ようやくひと段落した。少し、気持ちが落ち着いてきた。

あらためて、これまで撮った画像を見直した。よかれ、と思って選択した、約百枚の画像だ。HPに掲載するとあって、かなり真剣に眺めた。すると、気に入らないものがたくさんある。中には、どうして、こんなものを選択したのかと、首を傾げたくなるものもある。納得のいく画像は、いくらもない。

掲載画像のサイズは、幅750ピクセル。写真でいえば、2Lを少し大きくしたくらいだ。それを最高画質にすると、約400KBの容量になる。自分のPCで見る限りは、かなり鮮明だ。ところが、どういうわけか、HPの画面では、なんとなくぼやけている。あきらかに、画像が劣化している。我慢の限度、すれすれ、といったところだ。

ホームページに掲載されている画像は、みな、小さい。見づらい。そんな不満を持っていたので、ぐっと大きいものを載せた。が、そうすると、質が落ちる。河原の石ころの一つ一つ、雑草の葉っぱの一枚一枚、それらが、はっきり見えない。なんとなく、釈然としない。





2005.2.12(土)晴れ。風が冷たい。寒い。入間川十二番、入間川大橋。九時から十一時。

鉄の冠水橋が撤去されていた。脇に、新しい橋、入間川大橋ができたからだ。

川向こうの雑木林へ、燃料用の落ち葉を拾いに行く。そのために、小さな橋が架けられた。誰が命名したのか、くずはき橋と呼ばれるようになった。昔の話だ。

新しい橋の真ん中辺に、バルコニーのような処がある。そこに、往年のくずはき橋が、石版に描かれている。人が、身体を斜めにして、やっとすれ違うことのできるような、木の橋だ。木橋は、台風の増水で、たびたび流された。そこで、十年位前に、鉄の仮橋を作った。不細工な橋で、すぐに、赤くさびた。

来るたびに、カメラを向けている。しかし、どうにも絵にならない。のっぺりしすぎている。新しい橋ができるまで、渡ることさえできればいい、そんな思惑が、如実に反映されている。とはいえ、なくなってみると、なんだか、さびしい。景色が一変してしまった。

新しい橋の下へおりていった。いつもなら、川シモの眺めを邪魔している鉄橋に、舌打ちしたものだ。それが、今日は、ない。視界は開けたが、妙によそよそしい。薄ら寒い。カメラを向ける気にもなれない。

ふいに、後悔した。もっと、ちゃんと撮っておけばよかった。

水辺に近づいた。流れは青く、水は、驚くほど澄んでいた。浅瀬をじっと見つめた。小魚一匹いない。がぁーがぁーと、川の中まで重機が入り込んだ。生き物たちは、みな、どこかへ逃げてしまった。ますますさびしくなった。と、冷たい北西の風にあおられた。寒い。思わず、指先に息を吹きかけた。







2005.2.24(木)曇り。入間川十一番、給水橋。九時から十時半。

写真撮影に出掛けるのか、出掛けないのか、朝、迷った。改善したとはいえ、左目は、まだ本調子ではない。かなり濁っている。

先日の、寒い中での写真撮影を思い出した。橋の上は、手が凍えるほど寒かった。あれが、ストレスになったにちがいない。せっかく良くなりかけているのに、ここで無理をしたら、また増悪するかもしない。気持ちが臆病になっている。けっきょく、短時間のポイント撮影、ということにして、気持ちに折り合いをつけた。

外にでた。曇り空だ。気分は乗らない。だが、もう、行くしかない。


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