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 Photo essay <入間川写真紀行>

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2004.8.1(日)晴れ。台風の影響なのか?南風が強い。入間川二十番、狭山大橋。八時四十五分から十一時。

狭山大橋の下に車を止める。

橋の歩道を歩く。橋を下り、料金所の脇を通り抜け、橋沿いの横道に出る。少し行くと、左岸土手、自転車道になっている。大きな水門があり、さらに行くと、左手に、堰へと向かう小道がある。

堰の、コンクリの石畳に腰掛ける。ひと息入れ、いま来た道を戻る。こんどは、橋の土留めコンクリを斜めにのぼり、脇の駐車場に入り込む。階段をのぼり、柵を乗り越え、橋の歩道に上がる。橋を渡り終え、低めの土手を、上り下りして、橋の下に戻る。

と、まぁ、足取りだけは書いておこう。そのほかの、細々したことは、ちょっと書く気になれない。いささか、鼻についてきた、といってもいい。

写真も、枚数を撮ったわりには、ロクなのがない。

左目の硝子体が、また混濁し始めた。それで気分が乗らないのかもしれない。暑い中、無理して歩くことはなかった。増悪したらどうするんだ。静かに過ごせ。気持ちを落ち着かせるんだ。





2004.8.3(火)晴れ。暑い。陽射しが強い。入間川十二番、入間川大橋。八時四十五分から十時四十五分。

左岸の橋の下に車を止め、橋の歩道を歩く。はじめは川カミ側、次に、戻る形で川シモ側を撮る。

かれこれ七、八年前になる。のっぺりとした、巨大な橋脚が、だだっ広い河原に連なっていた。その光景がおもしろくて、よく写真を撮りに来た。しかし、どういうわけか、そのままの状態が、何年も続いた。放置された感じだ。しだいに、橋脚は薄汚れ、草に埋もれていった。





ところが、写真を撮ったことさえ忘れかけた頃に、橋梁の工事が始まった。いったい、どんな橋が架かるのか、多少の興味がわいた。どうせすぐにはできないのだから、長い目でみよう。だが、ここからも長かった。こちらの想像をはるかに超えていた。いつまでたっても、橋の体裁が整わない。真ん中で途切れたままだ。

また忘れかけてしまった頃、こんどは、塗装工事が始まった。むろん、橋はまだつながっていない。それなのに、できたところから、色を塗っている。橋の横っ腹が、見る見るうちに、変な紫色に塗られていく。なんというセンスのなさ!がっかりした。やり場のない怒りを覚えたほどだ。





それからまた、かなりの時間がたった。今年に入ってからのことだと思う。あるとき、閉鎖中の橋のたもとを通り抜けた。ふと見ると、橋の真ん中ヘンに人影だ。それも一人や二人じゃない。犬を連れている人もいる。これはと思い、すぐに車を回転させた。

橋の下へと回りこみ、カメラを手にして外にでた。なにか、人に遅れをとったような気がした。脇の、土留めコンクリを斜めに駆けあがり、あたりの様子をうかがった。だれもいない。通行止めの柵をまたいで、開通前の橋に入り込んだ。

風が冷たかった。ちゃんと着込んでこなかったので、えらく寒い。足早に歩いていくと、歩道にも欄干にも、大量の鳥のフン。周りにもいっぱいいる。そのうえ、橋の下の牛舎から、くさい臭いが、風に乗ってくる。雰囲気がよろしくない。景色だって、期待していたほどではない。二、三枚ざっと撮って、後ろも振り返らずに、さっと引き上げた。どうも相性がよくない。

それからまた、かなりの時間がたった。つい最近になって、橋は、ようやく開通した。車で何回か通り抜けたが、なんの感慨もわかなかった。ただ、そのうち、ゆっくり歩こう、とだけは思った。

その日が今日だった。歩き始めてすぐに、あれっと思った。鳥のフンなど、どこにもない。カラスもいない。歩道も欄干も、きれいなもんだ。それに、この前とは風向きがちがうのか、牛舎からの臭いもしない。天気がいいせいか、景色もいい。暑いけれども、かなりくつろげる雰囲気になっている。

左目の状態がさらに悪化している。にもかかわらず、暑い中出てきた。小一時間、橋の上を歩く。それくらいなら、大丈夫だろう。自分に言い聞かせてきたのだ。とはいえ、もう二時間近くも、橋の上にいる。撮るのに夢中になっていた。





2004.8.5(木)ひさしぶりの曇り空。ただし蒸し暑い。入間川十二番、入間川大橋(左岸)。九時から十一時。

左岸の橋の下に車を止める。河原におり、あたりの景色を撮る。移動。土手に車を止める。橋の脇だ。川カミへ向かって歩きだす。河川敷グランドの横を通り過ぎる。一面だけ、サッカーの練習をしている。少年たちだ。山吹色の、おそろいのユニホームを着ている。五十名くらいはいる。

左手の、少し高くなったところでは、年寄りたちがミニゴルフをやっている。その脇をぬけて、自転車道に入る。桜並木になっている。右手は住宅。左手はゴルフ場。縁が、ずうっとネットで囲われている。玉が、こっちへ飛んでこないようにしている。

ぶらぶら歩く。平日にもかかわらず、けっこう人がいる。犬の散歩やウォーキングだ。若いヤツが、ちいちゃな自転車で、サイクリングを楽しんでいる。でも、どこを見回しても、写真に撮るような景色はない。左目がよくないのに、無駄足している。気分が乗らない。重い。

それでも、なんなく、狭山大橋まで歩いてしまった。途中で引き返そうとは、一度も思わなかった。写真や文章は二の次で、入間川を歩くことに意味がある、と考え始めているからだ。いや、この方が楽なんだ。

否応なく、決められた所を歩く。これは、写真や文章にくらべると、まずもって、頭を使わない。集中力もいらない。それに、何よりも、イライラしない。適度な運動にもなり、これが、日課として生活に定着すれば、それこそ、生きがいにもなる。かように考えて、先日の区分けを見直した。こんどはかなり本気だ。こんなことばかりやっている。

入間川歩行二十六番

全八十三区

暫定覚書2004.8.3

入間川一番、上江橋(1〜6)。入間川二番、入間大橋(1〜7)。

入間川三番、釘無橋(1〜3)。入間川四番、落合橋(1〜5)。

入間川五番、平塚橋(1〜3)。入間川六番、雁見橋(1〜3)。

入間川七番、川越橋(1〜3)。入間川八番、初雁橋(1〜3)。

入間川九番、関越橋(1〜2)。入間川十番、八瀬大橋(1〜3)。

入間川十一番、給水橋(1〜4)。入間川十二番、入間川大橋(1〜3)。

入間川十三番、狭山大橋(1〜3)。入間川十四番、昭代橋(1〜3)。

入間川十五番、新富士見橋(1〜3)。

入間川十六番、本富士見橋(1〜3)。入間川十七番、広瀬橋(1〜3)。

入間川十八番、豊水橋(1〜3)。入間川十九番、笹井の堰(1〜3)。

入間川二十番、新豊水橋(1〜3)。

入間川二十一番、中橋から上橋(1〜3)。

入間川二十二番、阿須運動公園(1〜3)。

入間川二十三番、八高線鉄橋(1〜3)。

入間川二十四番、加治橋から矢川橋(1〜2)。

入間川二十五番、飯能大橋と矢久橋(1〜2)。

入間川二十六番、飯能河原。

自転車道は、左に大きく曲がって、狭山大橋の下を抜けていく。こっちは、自転車道から外れて、橋の下へと行った。うす暗いところで、雰囲気はよくない。だが、この近辺まで来たときには、必ず立ち寄る場所だ。きまって、水際にまでおりていき、川カミに向かってカメラを構える。たいした景色でもないが、一、二枚は撮る。儀式のようなものだ。

さてと、戻り道はどうしようか?舗装された川原道を歩いてもしょうがないだろう。背の高い雑草ばかりが目に付く。それよりも、ゴルフ場の縁を歩いて戻ろう。コースの入り口に、自販機があったはずだ。冷たい缶コーヒーでも飲んで、ひと息入れよう。

曇り空とはいえ、かなり汗をかいていた。でも、まだ元気だった。





2004.8.7(土)曇り時々晴れ。蒸し暑い。入間川十二番、入間川大橋(右岸)。八時四十五分から十一時四十五分。

右岸の橋の下に車を止める。向かいの牛舎の牛が、橋の下に二頭いる。見に行く。あとは、護岸をカニ歩きしながら、対岸を撮る。釣り人が何人かいた。少しだけのつもりが、かなり来てしまった。車に戻る。

汗びっしょり。Yシャツを脱ぐ。ふと見ると、橋脚際の浅瀬に、アメンボがいっぱいいる。周りを、黒い羽のイトトンボが飛び回っている。そのうちの一匹が、石にとまっている。じっとして動かない。

上半身裸のまま、カメラを片手に、そっと近づいた。護岸にしゃがみこみ、ファインダーを覗いた。何枚か撮ったが、どうも遠目だ。こんどは、F5を持ち出した。こっちは400ミリまできく。こういうときのために持ち歩いている。

黒い羽のイトトンボ。正式な名前は知らない。この時期、よく、水辺のアカマンマの周囲を飛び回っている。とはいえ、細長い腹が、青緑の光沢色だとは気づかなかった。ちょうど、ギンヤンマの目のような色だ。はたして、写真に撮れるのか。

でかいカメラを構えながら、にじりよった。しかし、もうすこし、というところで気づかれた。ひらりと飛び立ち、水草のほうへ逃げた。こっちも、少しの間、その場でじっと待った。が、もう、戻ってはこなかった。警戒している。

しようがない。車に戻った。汗でびしょびしょのYシャツを着た。移動だ。こんどは、護岸沿いに、ガタガタの川原道を、行き止まりまで行く。軍艦ブロックのあるところだ。そこに車を置いて、あたりを歩こう。

未練がましく、うしろをチラッと振り返った。やっぱりな。さっきの石の上に、イトトンボがとまっている。瑠璃色の細いお腹が、黒い羽の下に、わずかに見えた。






2004.8.8(日)曇り時々晴れ。蒸し暑い。入間川十一番、給水橋(右岸1)。八時四十五分から十一時四十五分。






2004.8.10(火)晴れ。暑い。入間川十一番、給水橋(右岸2)。八時四十五分から十二時。





いきなりの寡黙に、さしたる理由はない。文章を書いたり、読んだりするのがわずらわしいことだってある。多少疲れているのだろう。こういうときは無理をしない。静かに写真をを眺めよう。





2004.8.12(木)晴れ。陽射しが強い。暑い。入間川十一番、給水橋(右岸2)。八時四十五分から十時。

先日の歩行は、増形の運動公園あたりで終了していた。今日は、その続き。低めの土手を、車で流す。途中、何回か、車をとめる。対岸の西武文理の建物などを撮る。





少し走る。土手からおりる。奥富地区運動公園の脇に車を止める。周辺をぶらぶら歩く。鉄の仮橋のほうへも行く。橋のなかほどでたちどまり、シモへ向けて何枚か撮る。カミ側の新しい橋は、まるで絵にならない。十時、用事があるので引き上げ。





2004.8.14(土)晴れのち曇り。陽射しが強くて、暑い。入間川十一番、給水橋(右岸2)。九時から十二時。

先日撮り損ねた仮橋を撮る。


川沿いの、ガタガタの川原道を、車で流す。シモに向かっている。途中何回か車からおりる。護岸をななめに歩いて、対岸の景色などを撮る。

暑くて限界だ。頭がふらふらする。

廃駅の脇を抜ける。どうしても、素通りできない。車からおりる。撮りだす。






2004.8.15(日)久しぶりに、朝から雨。涼しい。入間川歩行はお休み。

八時半、川越橋の護岸にいる。

プリンターの調子がおかしい。昨日はとうとう、ヘッドリフレッシュを試みた。最後の手段だ。いちおう、改善はしたが、はたして、完全に直ったものなのかどうか?定かではない。

プリンターは四月頃に買ったものだ。以来、A4フルサイズの写真を四十枚、同じくA4の図表入り文書を二百枚、印刷している。この程度の枚数で、プリンターヘッドの調整が必要になるものなのだろうか?なんとも、判断に苦しむところだ。もっとも、二万円程度の機械に、微妙な写真の印刷を押し付けているのだから、頻繁な微調整が必要なのかもしれない。

・写真を始めた頃、コンビニのカラー複写機を、よく利用した。Lサイズの写真を、百円で、A4にまで大きくすることができる。いわゆるカラーコピーだ。ところが、しだいに、その印刷技術の未熟さが、鼻についてきた。画面全体がクロっぽい。色むらがある。白い線が入っている。我慢の限度を超えてきた。再三、店にクレームを申し立てたが、埒が明かない。それじゃぁ〜、というわけで、近辺のコンビニの機械を軒並み試してみた。結果は、もっと悪かった。入れ替わり立ち代り、四六時中ガチャガチャいじられ、コピー機も参っていたのだろう。

あの当時の、でかいカラーコピー機にくらべれば、今現在使っている、二万円のプリンターのほうが、はるかに優れている。性能がいい。とはいえ、液晶のモニター画像が、そのまま印刷されるわけではない。多少は荒くなり、色も、思ったようにはでない。だが、我慢のできる範囲ではある。何とか、このままの状態を維持してもらいたいものだ。





2004.8.17(火)曇り。蒸し暑い。入間川十一番、給水橋(左岸1)。八時四十五分から十時。

昨晩、***の**と、電話口で言い争った。朝になっても、イヤな気分のままだ。写真などが撮れる精神状態ではない。おまけに、雲行きが怪しい。今にも降り出しそうだ。

どう考えても、いい写真が撮れるはずがない。とはいえ、ほかにやることもない。日課の入間川歩行を遂行しよう。

車を運転しながら、考えた。曇りの日に、むりして、風景を撮ってもだめだ。空が白く飛んでしまう。川の色も鉛色だ。それよりは、近い距離から、花や雑草を撮ろう。ほれ、そこに、オシロイバナが群れている。





気分が低調なときに、なぜか、オシロイバナが目の前に現れる。ガキの頃住んでいた、三軒長屋の庭にも咲いていた。ちょうど、この毒々しい紅色のやつだ。とはいえ、かなり好きな花のひとつだ。





2004.8.19(木)晴れ。台風の影響で、熱風。猛烈に暑い。入間川十一番、給水橋(左岸2)。八時四十五分から九時四十五分。

安比奈親水公園南側に車を止める。芝生広場の横だ。ぶらぶらと、カミへ向かって、自転車道を歩く。植え込みの陰、人目に付かないところに、犬のフン。青い芝生の上に、なんとも汚らしい。

フンをさせるな、紐から放すな、という看板が立っているのに、このていたらく。なんとも、お粗末な人間どもだ。

以前はよく、この芝生の上で、体操などをやったものだ。素足になり、座り込んだり、寝転んだりと、けっこうくつろいだこともある。それが、今はもうできない。いたるところで、犬どもがオシッコをしている。そんな光景を何度も見ている。

暑い。傘をさした。写真を撮るのに邪魔になる。だが、そんなことも言っていられない。なにしろ、立っているだけで、汗がでてくる。

天気はいい。空の色も、雲の形もいい。茂みの向こうの、生コン工場などを何枚か撮った。とはいえ、気持ちが動かない。暑すぎるんだ。






2004.8.21(土)晴れ。さほど暑くない。入間川十番、八瀬大橋。八時半から十一時。

橋の上を歩く。行きはカミ側、帰りはシモ側を撮る。





右岸の橋のたもとから、低い土手に入り込む。すぐに行き止まり。川越市場の裏手に出た。戻る。





クネクネとした砂利道を歩く。荒れた感じの河川敷耕作地。橋の脇の廃線を見に行く。さびた線路が草に覆われていた。





2004.8.22(日)曇り。蒸し暑い。入間川十番、八瀬大橋(右岸、左岸)。八時半から十二時。

右岸側の橋の下に車を止める。バイクが走り回っている。うるさいサッカー場の縁を歩いて、ダンプ道に出る。さらに、給水橋の前まで行く。ついでに廃線をちょこっと見る。草に埋もれていて、入り込めない。いま来た道を戻る。

バイクはいつの間にかいなくなっていた。サッカー場では、少年たちが練習している。Yシャツがびしょびしょ。ポロシャツに着替え、車のなかで、一息つく。

また歩き始める。今度は、産廃の丘に上る。かなり高い。そのうちバイクが何台か来る。目障りだ。

移動。左岸の橋の下へ行く。デイキャンプをやっている。その脇を抜けて、自転車道に入る。カミへ向かって歩く。途中で、横道に入る。乗馬上の前。戻る。給水橋の前まで行く。竹やぶのほうへも行く。

川沿いの道を、橋に向かって戻る。かなり疲れている。気持ちも低調。目の調子が気になって仕方ない。黒い点が増えているようだ。





2004.8.24(火)うす曇り。蒸し暑い。入間川九番、関越橋2(左岸)。八時半から十一時。

左岸側、八瀬大橋の下。護岸際に自転車が止まっている。釣りかな、とおもいきや、ホームレスだ。むさくるしい感じのオヤジが煮炊きをしている。チラッと見ると、向こうも顔を上げた。ちょっとドキマギしている。いやな感じはしない。というか、ほとんど気持ちは動かない。勝手にやってくれ、という感じだ。

朝飯の邪魔をしないようにと、車を、橋脚のほうへ回した。カメラバックを背負い、外にでる。今日は、自転車道を、関越橋まで歩く。本来なら、明かりの具合からして、右岸を歩くのが順当なところだ。だが、何とかなくイヤなんだ。というのも、関越橋から八瀬大橋の、右岸一帯は、入間川きっての無法地帯で、平日はとくに、不穏な空気が漂っている。鉄柵越しに、聳え立つ産廃の山にカメラを向ければ、いつ何時、不逞の産廃業者が現れるやも知れぬ。ビクビクしながら、写真を撮ってもおもしろくない。

それでも、行くとなれば、車で、流す感じになる。茂みの中の、細いでこぼこ道をうねうねと走り、モトクロス場の脇を通り抜ける。さらに行くと、両側には産廃の山。悪路が、橋の下の広場へと続いている。このルートは、一度走ったことがある。殺伐とした光景で、印象が、非常によくない。やはり、行く気になれない。それに、二日かまえの日曜日に、産廃の山には登っている。周辺を、かなりゆっくり歩きまわっている。関越橋1(右岸)は、もういいだろう。あそこは、日曜日でなければ、入り込めない場所なんだ。

自転車道を、川シモへ向かって、歩いている。関越橋が、遠くに見える。以前、ジョギングで汗を流した道だ。寒風にあおられ、息を切らせた道だ。そんなこともあったよな。

田んぼの稲が穂を垂れている。川を背にして、何枚か撮った。幾度となく、歩いたり、走ったりした道だが、こんな光景は、見たことがない。あのときには、目に入らなかったんだ。






2004.8.26(木)曇り。さほど暑くない。入間川八番、初雁橋1〜2(橋上、右岸)。八時半から十一時。

的場浄水場の脇に車を止める。初雁橋を渡る。土手下の公園(川越公園)を歩く。三メートルほどの舗装された道だ。両脇の下草が、きれいに刈り込まれている。広々とした感じ。十五分ほどで行き止まり。広場になっている。関越橋の前だ。ベンチでひと休み。ついでに、橋の下へも行く。何台か車が止まっている。が、どういうわけか、人の気配はしない。以前来たときよりは、いくぶん明るい。雰囲気がよくなっている。帰りは、土手を歩く。右手は水上公園。木立の間からプールサイドが見える。あまり人がいない。

とまぁ〜、足取りだは、ざっと書いておく。これ以上の、こまい描写をする気にはなれない。アップする写真が一枚もないからだ。多少気分が腐っている。こういうときは、どう、紙面を埋めたらいいのか?昨日から迷っている。最低、一頁はノルマ何とかしなければならない。とはいえ、事態は、そんなに深刻ではない。たかが一頁、書くのは、ワケのないことだ。その程度の筆力は、確実に身につけた。

二、三年前から、日記帳をつけているのがおおきい。それに、去年は、雑記帳とか、哲学帳とかの雑文を書きなぐった。内なる文学の権威から解放されて、楽しく書くことができるようになった。頭に浮かんできた言葉を、そのまま打ち込んでいけばいい。言葉のドライブ感を楽しんでいるわけで、内容は、さほど問題にならない。だから、推敲なんか、ほとんどしない。書き終わった、というか、打ち終わったあとに、ざっと読み返して、あまりにも意味が通らない文章だけを手直しする。ほら、もう一頁の紙面が埋まっている。ものの三十分だった。





2004.8.28(土)曇り。入間川八番、初雁橋3(右岸)。八時半から十二時。

今日もまた、的場浄水場の脇に車を止める。今にも降りだしそうな天気、気乗りしない。自転車道を、川カミに向かって歩きだす。懐かしい道だ。汗びっしょりかいて、走った道だ。気分が、少しずつ変わり始めている。立ち止まり、振り返りながら、どうということもない景色を、何枚も撮る。

あっという間に、関越橋の前。なんとなく物足りない。辺りを見回した。土を高くもった上に、高速道路がある。防音壁に囲われている。見上げるような感じ。そこに、雑草が繁茂している。首を横にのばすと、側道沿いに、ヨウシュウヤマゴボウが、何株もある。歩き出す。真正面で立ち止まり、何枚か撮る。よくない。

右手は工業団地。用水路が流れている。両側を、緑のフェンスで囲われている。そこに、朝顔のような花がいくつも咲いている。よく目にする花だが、名前は失念した。そんなことはどうでもよろしい。曇天の中、淡いピンクの花が、金網に絡み付いて、精一杯だ。

この際だ。藤原新也のマネをして、目いっぱいの、露出オーバーで撮ってみよう。なにしろ、花の色が飛んでしまっては、意味がない。かなり粘った。もういいだろう。とはいえ、撮れた、という感触がない。最後にもう一度振り返った。やはり、いい。用水路のフェンスに花、ずっと続いている。





戻った。土手にあがり、川カミへ少し歩いた。立ち止まり、対岸を眺めた。高速道路が、入間川を縦断している。あいかわらず、木立ちの中には、ブルーシートの掘っ立て小屋が見える。まだ生きている。

歩き出した。なんにもない。歩くだけだ。土手が、少しだけ左に曲がる。標識のようなモノが立っている。いわく、ゴルフ禁止。なるほど、なるほど。以前、このあたりで、よくゴルフをやっていた。面相のよくないオヤジだ。ま、アプローチの練習だから、弾が当たる心配はない。とはいえ、なんとなく苦々しい思いがした。誰かが、お上に通報したんだ。

向き直った。初雁橋が見える。あとは、一気に水門まで歩いた。一息入れよう。水門下の護岸に腰を下ろして、考えた。引き上げようか?それとも、護岸を、関越橋に向かって歩こうか?まだ元気だろ。行くことにする。

水辺に、アカマンマが群生していた。立ち止まり、思案した。何とか写真に撮りたいものだ。なにげなく、川カミのほうへも視線を向けた。護岸に沿って、ずっと緑の帯。じっと見た。アカマンマの群落だった。見渡す限りの、アカマンマ。一瞬、気が遠のいた。

我に返った。あらためて、辺りを眺めなおした。すると、自然に、笑いがこみ上げてきた。えらく、トクをしたような気分だ。愉快だ。じつに、いい。





2004.8.26(日)雨。入間川歩行はお休み。

2004.8.28(火)。台風一過、晴れ。ただし、雲が多い。入間川七番、川越橋1〜2(橋上、右岸)。八時半から十二時半。

左岸の橋の下、護岸の上に車を止める。橋を渡り、右岸の土手を初雁橋付近まで歩く。暑い。かなり疲れている。帰りは、自転車道をまっすぐ歩いて戻る。往復で、三キロ弱の道のりだが、わりと時間がかかった。

撮るものがたくさんあった。橋の上からの風景、対岸の景色、鉄橋が二本、それに水深計。歩くことに疲れた、というよりは、写真を撮ることに疲れた。





2004.9.2(木)曇り。入間川七番、川越橋3(左岸)。八時半から十一時半。

土手下の広場に車を止める。河川敷グランドの中を歩いて、東上線鉄橋まで行く。鉄橋下の河原へも行く。土手の上を歩いて戻る。

移動。川越線鉄橋の下に車を止める。辺りをぶらぶら歩く。






2004.9.4(土)曇り。入間川六番、雁見橋1〜2(橋上、右岸)。八時半から十一時半。

土手の路側帯に車を止める。土手下の、レンコン畑や田んぼを撮る。スケッチをしにきた初老の女性と立ち話をする。少しカミ寄りの、小さな公園の中に入り込む。雑草が繁茂している。

土手にあがる。橋をわたる。西側の田園風景がいい。もと来た道を戻る。気持ちがざわついている。初老の女性のことが気になっている。

帰宅後、画像の選択をした。どう贔屓目に見ても、アップするような写真はない。気持ちが萎える。覚書すら書く気がしない。気分転換にと、名刺を作り始めた。

インターネットが開通したのだから、Eメールを書き加えよう。それを忘れていた。ついでに、肩書きも変えた。フォトエッセイスト、とした。ふ〜む、どうもピンとこない。かといって、ほかに適当なのが、思い浮かばない。ま、たしかに、写真を撮り、文章を書くことが、人生の生きがいとなっている。だから、まったくのデタラメでもない。とはいえ、写真も文章も、たいしたことない。質量ともに、まだアマチュアのレベルだ。フォトエッセイスト、だなぁ〜んて、チャンチャラおかしい。これは、心に秘めておくべき事柄だ。






2004.9.5(日)曇り時々小雨。入間川歩行はお休み。





2004.9.7(火)晴れ。台風18号の影響で強風。入間川六番、雁見橋3(左岸)。八時半から十二時。

左岸の橋の下に車を止める。乱雲。空の景色がいい。まずは橋の上を歩く。つぎに、土手からおりて、先日撮り損ねた、西側の田んぼのほうへ行く。

広めの農道を歩きながら撮る。一面黄色。稲が穂を垂れている。そこかしこに、農家のおじさんがいる。稲の様子を見ている。そのうち、トラクターが来て、刈り取りが始まった。





土手に戻る。後ろ向きに歩きながら、左右の景色を撮る。雲がいい。ただし、川原側は、逆光。いくら露出調整しても、これはだめだろう。そう思いながらも、鉄塔群を、しつこく撮った。

川越橋の手前、土手下に小学校がある。校庭で、生徒達が体育の授業だ。このまま行くと、脇を通りすぎることになる。ふと、先日の事件を思い出した。不審者に間違われて、呼び止められたことだ。行くのはやめて、川原へおりよう。ちょうどいい具合に、土手に階段があった。誰かが、背中を押している。おりたところは、広めの、がたがたの川原道。それを横切り、河川敷グランドの中に入った。突っ切っていくと、お気に入りの護岸だ。向き直る。川越橋の向こうに乱雲。ただし、逆光ぎみ。かなり粘るが、きれいには撮れない。それよりも、この位置取りからの景色に、目が慣れすぎている。心が動かない。

護岸を歩いて、堰へ行く。以前はよく、水流などを撮ってた所だ。立ち止まり、ゆっくりと、辺りを眺める。どうということもない景色。今日はとくに、目に付くものがない。ほとばしる水流を、チラッと見たが、撮る気にはなれなかった。土手下の道を歩いて戻ろう。

右手の、芝生のきれいなグランドで、アメフトの練習をしている。近くの大学の若者達だ。小柄だが、みな、がっしりしている。雄叫びを上げながら、タックルの練習。その脇を静かに通り抜ける。

顔をあげる。青い、雁見の橋が横たわっている。その下に、車が何台か止まっている。一台は、ガタガタの白のカローラ。これには、白髪頭の険のあるオヤジが乗っている。今日は朝から、ドアに足をかけて寝ている。もう一台の、護岸際の白い軽、若いヤツが乗っていそうな車だ。脇にバイクも止まっている。何日かまえにも見かけている。なんとなくいやな雰囲気だ。

お前が、そこにいるから、河原におりていけないんだ。忌々しい感じがする。もっとも、是が非でも河原におりて、雁見橋を撮る、という気分でもない。何回も撮っているので、今日のところは、パスしよう。

車に戻った。汗ぐっしょりのYシャツを脱いだ。ふと、橋の隙間の、汚らしい布団が目に入った。廃棄物だ。ヒトの気配はしない。

対岸の橋の下に、ホームレスがいた。以前、あそこには、白塗りの、ちょっと頭のおかしい若いヤツがいた。果たして、こんどのヤツは、どんな野郎なのか?まだ、姿を見たことはない。





2004.9.9(木)曇り。蒸し暑い。入間川五番、平塚橋1(橋上)。八時半から十時。

左岸土手の上に車を止める。本当は、橋の下に車を止めるつもりだった。ところが、先客だ。車が止まっている。そばでオヤジがゴルフをやっている。しかたない、右岸の橋の下へ回り込もう。

右折。平塚橋を渡る。左折。ななめに自転車道をおりる。あっりゃぁ〜、通行止めだ。橋への小道に、ぶっとい鎖。ふ〜む。狭い場所で回転。橋のたもとまで戻る。ちょっとためらうが、右岸の土手道を、雁見橋へ向かって突っ走る。右折。橋を渡る。右折。左岸の土手を突っ走る。ぐるっと一周してしまった。バカみたい。

中途半端な土手の上だ。車をハジに寄せる。ほかの車が通れるのか、確認する。大丈夫そうだ。

西側は、雑然とした農地、という先入観があった。ところが、今日はちがう。田んぼが黄色くなっている。広々とした、明るい空間だ。遠くに、山並みも見える。曇り空だが、空に、多少の色もある。何とかなるだろう。






2004.9.11(土)曇り時々晴れ。入間川五番、平塚橋2(右岸)。八時半から十二時。





土手の斜面にも、彼岸花が咲いていた。秋になった。





2004.9.12(日)晴れ。久しぶりの青空だ。入間川五番、平塚橋3(左岸)。八時半から十二時半。

さほど疲れなかった。体力が回復している。






2004.9.14(火)曇りのち晴れ。午後からは日差しが強い。入間川四番、落合橋1(橋上)。八時半から十二時半。

右岸の橋の下に車を止める。水深計を見る。橋の上を歩く。長い橋だ。下を、三本の川が流れている。入間川、小畔川、越辺川。ちょっとシモで、小畔川は越辺川に合流している。きまぐれに、越辺川の下におりた。あまりヒトがこないと見えて、川原が緑一色だった。






2004.9.16(木)晴れ。午前中は、スカッとした青空。入間川四番、落合橋2(右岸)。八時半から十一時半。

右岸の橋の下に車を止める。自転車道を、川カミに向かって歩く。途中からは、砂利の土手道を行く。平塚橋が見える。土手下の自転車道を歩いて戻る。

また、左目の調子がおかしい。混濁しはじめている。以前なら、気持ちが動揺して、写真撮影どころではなかった。しかし今日は、つとめて平静をよそおい、こうして出張ってきた。

かれこれ、一年以上も、こんな状態が続いている。混濁がはじまると、心が乱れ、一週間くらいは、ただただ不安におののいている。生活のペースがくずされ、写真や文筆への集中力が断ち切られる。もう、勘弁してもらいたい、というのが本音だ。それに、こうもおもった。これは、目の病気ではなくて、心の病気だ。症状は、硝子体の炎症で、軽い。行動を、多少制限される程度のものだ。いちいち、実も蓋もないような気分に落ち込むことはない。平気に生きていればいいんだ。






2004.9.18(土)うす曇り。ときどき、薄日がさす。入間川四番、落合橋3(右岸)。八時半から十二時。

共同墓地の脇に車を止める。土手に上がる。川カミに向かって歩く。送電線の下で、土手の階段を下りる。稲が刈り取られてしまった。あぜ道を突っ切って、道路に出る。シロタエヒマワリを撮る。休耕田のアカマンマ、斜面のお地蔵さんなども撮る。用水路の脇で休憩。戻りは、自転車道を歩く。

移動。平塚橋まで戻り、土手下の道を行く。鉄塔のあたりで、車をハジに寄せる。土手を、平塚橋へ向かって歩く。疲れたのか?もう写真を撮るような気分ではない。戻りは、土手下の道。白い小さな花、ヨメナが目に付く。ただし、接写する集中力がない。今日のところは、葉っぱの形だけでも、覚えていこう。

車に戻った。脇で、畑仕事をしているおじさんから挨拶された。後ろに止まっているトラック主だ。大根の種をまくのだという。

話をしているうちに、そう、思い出した。以前、ここに来たときにも、黄色のでかい給水容器を積んだトラックが止まっていた。キャベツ畑のヨコだった。なんとなく、雰囲気のよくないオヤジだと思って、無視した覚えがある。

面相は、前歯が抜けていて、さほどよくないが、悪そうな人間ではなさそうだ。やや自嘲気味に、作物作りは趣味だ、と言っている。台風の増水で、畑が全部流されることもある。取れた野菜を売っても、肥料代にすらならない。とっくに、女房には愛想をつかされている。自分でもバカだと思うが、畑をやっていると、生きている、という実感が持てる。久しぶりに、人間の口から、まともな話しが聞けたような気がした。






2004.9.19(月)晴れ。暑い。入間川四番、落合橋4(左岸)。八時半から十時半。

小畔川との間、ちょっと広くなったところに車を止める。落合橋へ向かって、土手を歩く。西側の景色を眺める。橋のヨコで休憩。蛇の抜け殻がある。土留めコンクリの穴から、うらうらと這い出し、ここで変態したんだ。目の前の、緑の茂みを見た。1メートルくらいのヤツが、この中にいるわけだ。

腰を上げた。橋の下へ行ってみた。車が何台か止まっている。釣りをしている。対岸にもいる。橋の下の日陰が、釣り場になっている。はたして、なにが釣れるのか?おそらくは、鯉だ。鯉は、汚い水でもヘイチャラらしい。

土手下の道のほうへ歩き出した。雑草が伸び放題。少し行くと、車の轍も見えない。これ以上は、長靴を履いていないと、踏み込めない。しかたなしに、土手に上がった。車を少し移動して、もうすこし、左岸を歩こう。

あれっ、目がヘンだ。ナンバープレートの字がゆがんでいる。いや、見ようとすると、よけいに見えない。それも左目じゃない。頼みの右目だ。とたんに、頭がくらくらしてきた。暑さにやられたのかもしれない。

早く車に戻って、休憩したかった。右目の錯視のほうは、一過性のものだ。目を閉じて、静かにしていれば、すぐによくなる。何度も経験していることだ。頭のほうは、軽い熱中症なのかもしれない。こっちは、水分を補給すればなおるはずだ。





2004.9.21(火)晴れ。残暑。入間川四番、落合橋5(左岸)。八時半から十一時半。

左岸、平塚橋の下に車を止める。土手に上がり、落合橋へ向かって歩気ながら、西側の景色を撮る。土手下の小さな神社で休憩。





さらに土手を行く。落合橋の手前まで歩く。もどりは、小畔川の土手道。細いが、舗装されている。川カミの景色がいい。鎌取橋のあたりで土手をおり、道路に出る。雑然とした耕作地を突っ切り、また、入間川の土手にあがる。平塚橋が、かなり遠くに見える。カンカン照り。左目の奥に鈍痛。暑くて限界。






2004.9.23(木)曇り。涼しくなった。入間川三番、釘無橋1(左岸)。八時半〜十二時。

左岸、落合橋際の土手に車を止める。土手を、釘無橋へ向かって歩く。橋のちょっと手前、土手の階段で休憩。橋の下へも行く。なにもない。戻りは、土手下の道。いわゆるカゼクサの道だ。

両脇から、背丈ほどもあるブタクサが、道に覆いかぶさっている。それを、右によけ、左によけながら歩く。途中に、一箇所だけ、河原へ通じる小道がある。ほとんど草に覆われている。かまわず踏み込む。

展望のない、どうということもない河原。だが、ヒトがこないと見えて、きれいだ。ところどころに、背の低い草が生えている。カミのほうの水際には、アカマンマが群れている。しばしば目にする光景に、もう、心は動かない。それよりも、足元の、ちょろちょろした流れに目を移して、はっとした。水がきれいだ。目を凝らすと、小魚が、流れに逆らって、泳ぎ回っている。

ここのところ、川原の雑草に阻まれて、水際に行くことができなかった。ヘビやムカデのいる草むらに、運動靴で踏み込んでいくのがイヤだった。それが今日はちがう。軽登山靴を履いている。朝の「数息」のときに、思いついたことだ。かなりの距離、砂利の土手道を歩く。足元を固めよう。

いつのまにか、入間川歩行が大切なものになっていた。まえに、写真や文章は二の次だ、と話した覚えがある。その言葉が本当になった。歩くこと。これほど、楽なことはない。安楽なほうへと、身体が流れていく。これでいいような気もするし、物足りないような気もする。





2004.9.25(土)曇り時々小雨。入間川歩行はお休み。

公開アルバムのことについて話そう。正式には、ニコンオンラインアルバム、という。このWebサイトに、二冊のアルバムを登録している。一冊目は、入間川百景。これは、かなり以前から公開している。たしか、はじめは、「入間川―幻の光景」というタイトルだった。あまりに大仰すぎ、自分でも気恥ずかしくなってきて、いまの名前に変更した。内容は、その名のとおり、入間川の風景画像で、気に入ったものを集めたものだ。

二冊目の、入間川写真紀行(抄)は、つい最近登録した。力を注いでいるフォトエッセー、「入間川写真紀行」の画像だけを掲載している。どちらも、自分のためだけのアルバムだ。人様に見ていただく、という意識はきわめて低い。それならば、いっそのこと、写真も文章も、門外不出にすればいい。だが、そのへんが、じつに微妙だ。

ヒトに見せるために、写真や文章を、やっているわけではない。自分自身のためだ。それなのに、消極的な形であるにせよ、作品化して、公開している。ちいさな声で、見てください、と言っているわけだ。すっきりしない。絶対ヒトに見せない、と断言して、私蔵してもいい。あるいは逆に、もっとヒトの目に触れるように算段をしてもいい。そうしないのには、なにか理由があるのか?

わからない。いや、自己保身なのかもしれない。プロでもアマでもない、中途半端なところに立つことで、自分自身を守っている。自尊心を傷つけられたくないんだ。ま、それもいいだろう。





2004.9.26(日)朝のうちは小雨、午後からは曇り。入間川歩行はお休み。

いつもの時間に家を出る。釘無橋の手前、土手の路側帯へ行く。小雨がぱらついている。うすら寒い。車の中で、想念草子を書きながら様子を見る。

今朝もいつもの時間に起きられなかった。めずらしく「数息」をサボった。少し風邪気味なのかもしれない。

昨晩は、**ちゃんと会食。かなり長い時間一緒にいた。楽しく話しができた。・・・**が帰ってきているみたいなのだが、連絡がない。****で、お墓参りに行っているのだという。なんとなく釈然としない気分。

天気がよくないのを理由にして、入間川歩行をサボっている。うすら寒い中、出て行くのが億劫だ。多少、体調がよくないのかもしれない。ま、いいだろう。

いわゆる、日常雑記だ。写真紀行を書き始める前には、この想念草子を、ほとんど毎日のように書いていた。主に、対人関係における、負の感情を書きなぐることで、ウサを晴らしていた。それが、入間川歩行を、思い立ってからは、少しかわってきた。他人への不平不満、恨みつらみを、クドクド書くのがイヤになった。そんなことは、彼方に追いやってしまえ、と思えるようになった。もっとも、一日おきの入間川歩行と写真紀行の制作で、時間がない。イヤなことが、脳裏に浮かんでくることが少なくなった。そうさ、いやなことは、みんな忘れてしまえ。






2004.9.28(火)曇り。体調不良につき、入間川歩行はお休み。

やはり、風邪を引いていた。昨日は、**の**送迎すら、しんどかった。だから、午後もずっと寝ていた。夕方になって、多少寝汗をかいた。熱をだしたせいか、少し体がすっきりした。テレビを見られるくらいには、元気が回復した。だが、今朝になっても、体調は十分ではない。天気もよくないし、入間川歩行は中止にして、写真紀行の制作でもしよう。

いまさっき、おととい分を仕上げた。それで、第五分冊が終わった。ともあれ、半年で200頁、書いたことになる。これには、我ながら、かなり満足している。

三日坊主にならなかったのが、不思議なくらいだ。半年前にくらべれば、写真も文章もうまくなっている、という実感すらある。月並みだが、継続は力なり、という言葉どうりだ。

***が軽症で、しかも、そのときの対処の仕方を、学習したのもおおきい。気分の落ち込みを、何食わぬ顔をして、いなしていく態度だ。これまでは、気分によって、その日の行動が制御されていた。体は元気なのに、気分がよくないので、不活発になる。あるいは、気分がいいので、体の不調にもかかわらず、無理をする。その辺のバランスの取り方が、いつの間にか、できなくなっていた。

目が悪くなってから四年、何かやるたびに、***によって中断されてきた。それが、気持ちを切らさずに、半年間、やれたわけだ。今後、どのような情況になろうとも、写真紀行の制作は、継続されていくだろう。そんな風に思えるのが、わけもなく、うれしい。





2004.9.30(木)台風一過、晴れ。ただし強風。入間川三番、釘無橋2(橋上)。






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