此岸からの風景
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 Photo essay<入間川写真紀行>

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2013

2007.1.3(水)晴れ。薄い雲がかかっている。入間川五番、平塚橋。左岸の土手下。十一時から十二時半。

曇りの予報だった。午前中は、想念草子を書き、HPのリニューアルをやる。ところが、起きたら、薄日が差している。どうしようか。テレビなどを見て、ぐずぐずしていた。すると、日が翳ってきた。ベランダに出て、西の空を見る。雲がかかっている。

取り立てて書くこともないが、いちおうは日課だ。テレビを消し、パソコンの電源を入れた。しかし、メールのチェックなどをしているうちに、また日が差してきた。照ったり翳ったり。気持ちが落ち着かない。

十時半をすぎていたが、外出の準備をした。とにもかくにも、入間川へ出よう。今日は、左岸の土手。まっすぐ、平塚橋の下まで行った。

外に出た。日差しは弱い。とはいえ、無風。ダウンを着込まなくても大丈夫。土手下の道を、ぶらぶら歩き出した。穏やかな日和。枯野へ踏み込み、形のいい雑木などを見てまわる。

雀のより、ひと回り大きい鳥が、たくさんいる。近づくと、いっせいに、飛び立つ。枯野からも、キジのひと声。川シモのほうへ、バタバタっと低空飛行。目で追う。と、後で、小鳥たちが、騒がしい。振り返った。カラスじゃない、鳶が、雑木の周りを飛んでいる。

そういえば、元旦に、車の中から、大きな鳥を見た。鳶の倍はある。ゆっくり旋回しながら、小畔川のほうへ消えていった。あれは、鷹だ。入間川近辺にも、猛禽類がいる。正月早々、縁起がいい。





2007.1.5(金)晴れ。小春日和。入間川五番、平塚橋。左岸。十時から十二時四十五分。

左岸の河川敷は、一面、枯野。とはいえ、五十メートル間隔で、下草がきれいに刈られている。つまりは、トラ刈り?状態。河川敷の管轄は、国土省だから、行政が手を下した。それにしても、何のためなのか、よくわからない。もっとも、そのおかげで、普段は立ち入ることのできない場所へ、踏み込むことができた。

左岸、落合橋の少し手前。大きな木がある。水際の、草深いところにあるので、夏場はもちろんのこと、冬でも近づくことができない。いつも、横目で見ながら、通り過ぎていた。

千載一遇!トラ刈り?のおかげだ。初めて、そばにまで行くことができた。ところが、周りはゴミだらけ。先日の、季節外れの大雨で、漂着したのモノどもだ。まぁ、いい。立ち止まり、木肌をじっと見た。櫟のような気もするが、自信はない。

枝分かれした太い幹が、何本もあった。一族が、寄り添っている感じ。中でも、ひときわ大きな古木に目がいく。ひと抱えはある。どうみても、俺よりは年上だろう。百年、いや、百五十年くらいは生きているかもしれない。

入間川の地勢については、ほとんど何も知らない。ましてや、百年前の姿は、想像することさえできない。とはいえ、水際の櫟一族は、その昔、広大な河川耕作地に林立していたものと考えられる。

あるとき、川の流れが変わった。細い幹は流されたが、太い幹は耐えた。その証拠に、根本から一メートルあたりで、S字にくねっている。度重なる、激しい水流だ。頑張った。いいや、そうおもうのは、人間だけだ。異形の古木は、まったく、人を寄せ付けない。





2007.1.7(日)晴れ。入間川四番、落合橋。左岸、橋付近。十時から十二時。

雁見橋際から入って、左岸の土手をひとっ走り。左手に、小畔川。川が、南へ、大きく蛇行しはじめる。

落合橋のすぐ手前、左右に、川原へ下りる道がある。立ち入り禁止の立て札が立っている。もっとも、小畔川のほうは、すぐに行き止まり。下り口に車を止め、外に出る。風が、おもいっきり冷たい。

土手を、落合橋のほうへ、ぶらぶら歩く。トラ刈り?の川原へ下りる。水際まで行き、川シモの橋を見る。たいした景色じゃない。戻ろう。

向き直った。立ち枯れた葦。背の高さほどある。見上げると、なにか、飛んでいる。鳶かな?はっとした。元旦に見た、タカだ。

気になって、ネットで検索をした。写真に撮った、豆粒ほどの鳥を拡大し、姿かたちを頭に入れた。しかし、同じような模様が見当たらない。特定はできない。だが、そのときにおもった。トビもユスリもタカの一種。まったくの、かんちがいではない。

西の空へ飛んでいく鳶を、目で追った。何かの知らせかもしれない。土手に上がった。小畔川の川原に、坊主の雑木。そのうちの一本に、褐色の、大きな鳥がとまっている。鳶、だな。

さかんに撮っていると、向きを変えた。人間の気配を察したのだろう。枝から飛び立った。すると、どこからともなく、もう一羽現れた。二羽で、冬空を旋回している。ツガイだ。

この距離で、写真に撮れるのか。撮れても、撮れなくても、指をくわえて、眺めているわけにはいかない。背景には、群馬の山並。絶好の機会だ。





2007.1.14(日)晴れ。入間川四番、落合橋。右岸、橋際付近。および、245バイパス下井草歩道橋上。十時から十二時。

晴天にもかかわらず、ほぼ一週間、歩行をサボった。部屋の模様替えに夢中になっていたからだ。きのうになって、やっと、メドがついた。歩行を再開しよう。とはいえ、なんとなく、気合が入らない。

右岸の橋際、少し広くなったところに車を止める。土手下の自転車道に下りる。これといったものは、なにもない。散歩がてら、川カミ方向へ、ぶらぶら歩く。小春日和。いい天気だ。

道が、左に大きく曲がる。ここまでは、先日歩いた。戻ろう。土手の上に上がった。うっすらと、群馬、上越の山並みが見える。しかし、遠すぎて、カメラを構える気にもなれない。

けっきょく、ほとんど何も撮らずに、車に戻った。橋の上でも歩こうか、いや、明かりの具合がよくない。言い訳だな。やる気がない。

引き上げ。川島のカインズホームへ買い物。橋をわたる。その瞬間、ふと思い出した。そうだ、歩道橋だ。正面に鉄塔が立っていた。あの上から、北側の風景をねらってみよう。今日しかないぞ。自分に言い聞かせた。





2007.1.18(木)晴れ。小春日和。入間川歩行、番外、小畔川。右岸、吉田橋から八幡橋。十時から十一時半。

入間川のほうは、落合橋で区切りをつけた。今日からは、越辺川の支流、小畔川を歩く。すぐ近くの、一番身近な川だ。

左岸、吉田橋の橋際に車を止める。橋をわたり、右岸の川原へ下りる。この時期にしては、けっこう水かさがある。鴨が、五、六羽、ぷかぷか浮いている。ほかにも、中州のほうで、日向ぼっこをしている。けっこう数が多い。

すぐに東上線鉄橋。その下の浅瀬に、カラスがいる。不快な鳴き声。鴨達を威嚇している。流れに、くちばしを突っ込み、鳥の骨をついばむ。それを、鴨たちに向かって、ぷいと吐き出す。

鴨たちは、カラスから少し離れたところにいる。数を頼みにしているのか、恐れる様子はない。カラスは、ますます苛立ち、浅瀬に仁王立ち。大きな叫び声を上げている。

鳥たちが、人間には目もくれずに、縄張り争いをしている。世界は、多様だ!

護岸を、ぶらぶら歩き出した。対岸の水際、立ち枯れた葦に鳥がとまっている。その瞬間、垂直に、川の中へ飛び込んだ。すぐに水面から飛び出し、目にもとまらぬ速さで、護岸を低空飛行。カワセミだ。

水もたいしてきれいじゃない。ゴミも散乱している。ドブ川に、少し毛が生えたようなものだ。自宅裏の川に、カワセミがいる。誇らしくおもう前に、疑問が先に立つ。

そういえば、去年も、このあたりで、「空飛ぶ宝石」を見た。カワセミは、水のきれいなところにしかいない。何かで読んだことがあるが、ありゃウソだ。入間川でも、しばしば遭遇している。目の前に、水門があった。ふと目をやると、護岸際の枯れ草に、またしても、カワセミ。距離にして、五メートル。静かに、カメラを構えた。

鳥は撮れない。ウデもなければ、機材ももっていない。それでも、バシャバシャ撮ってしまう。写真などは、どうでもいい。ファインダー越しに、カワセミとの急接近を、楽しんでいる。





2007.1.19(金)晴れ。十時から十二時。入間川歩行、番外、小畔川。金塀橋から八幡橋、両岸。

撮るものは、決まっていた。右岸から、八幡橋際の電波塔。茶色い、立派なやつだ。

電波塔の下に、国土省の入間川出張所がある。入間川の展示ルームも併設されている。前々から気になっていたが、なんとなく入りづらかった。この際だ!入り口で、登山靴をスリッパに履き替え、二階へ上がった。

事務所に声をかけると、若い職員が応対してくれた。愛想がいい。見晴台に上りますか?一瞬、何のことかわからなかった。聞き返した。電波塔にのぼれるのですか。途中までいけます。まったく、予想外のことだった。

入り口の鍵を開けてもらい、周りの景色を見ながら、螺旋階段を登った。とはいえ、落下防止のため、ステンのパイプが張り巡らされている。檻の中から外を見ているようだ。

息が切れる前に、展望ラウンジに着いた。360度見回せる。しかしながら、南側は、逆光。よく見えない。東と西は、見晴らしはいいが、斜光。写真にはならない。

明かりがいいのは、北側。立ち止まった。目の前に、高層住宅。景色をさえぎっている。それでも、いちおうカメラを構えた。他人の家の中を覗き見るようで、気が引ける。おっぱい山が、チラッと目に入ったので、記念に一枚だけ撮った。

なんだか、物足りない。諦めきれずに、西側の景色を、もう一度眺めた。カメラを向けたが、どうしても絵にできない。記念写真だな。何枚か撮って、下におりた。

また、二階の事務所に上がり、声をかけた。用談中なので、勝手に、展示ルームへ入り、電気をつけた。教室半分くらいの広さ。パネルや写真にざっと目を通した。

変色した昔の写真。まだ、木橋だったころの落合橋や釘無橋。どの辺から、写したものなのか、ちょっと考えたりもした。

入間川について、少し勉強しようかな。久しぶりに、知的な好奇心が沸き起こった。





2007.1.21(日)晴れ。日差しが弱い。入間川歩行、番外、小畔川。右岸、八幡橋付近。十時から十二時。

左岸の橋の横に、四角い水深計が、二基ある。型は、さほど大きくないが、真っ白なペンキで塗られている。目に付く。なんとか撮れないものなのか。前に来たときにも、そうおもった。でも、やはり駄目だ。ロケーションが悪すぎる。土手の向こうに、高層住宅がたっている。

諦めて、橋の下をくぐる。護岸沿いに、雑木がたっている。一本じゃない。十数本が、徒党を組んでいる。仲間が結束し、一塊になっている。みな、背が高い。形もいい。しかし、残念ながら、名前がわからない。

角度を変え、粘って撮っていると、後で声がした。土手の上に、白い軽トラがとまっている。とたんに、犬が土手を駆け下り、狭い川原を走り回っている。お前は、なんてバカなんだ。飼い主の声が聞こえる。無視していると、大小、二匹の犬が、ものすごい勢いで、目の前を駆け抜けていった。

目で追うと、一匹が、そのままのスピードで、木の上に駆けあがった。追っかけられていたのは、茶トラのネコだった。犬のほうは、木の下で、上を見上げながら、ギャンギャン吠え立てている。もう、写真どころじゃない。そこへ、軽トラが来る。狭い土手に、車をぶっとめ、中から、犬に何か言っている。興ざめ。話にならん。

静かな時間を邪魔された。多少機嫌が悪い。車に戻る。県道を横切り、土手道に入る。すると、向こうから、白い軽トラが来る。すれ違いはできない。よける場所もない。その場に車を止め、近づいてくる軽トラを見ていた。ためらうことなく、どんどん近づいてくる。運転しているヤツの顔が見える。目と鼻の先で、止まった。若い男だ。何秒か、サングラス越しに、にらみつけた。しかし、相手に譲る気配をはない。

車から降り、怒鳴りつけることもできる。喧嘩上等!いや、やっぱりやめた。譲ろう。バックで、県道を突っ切った。軽トラは、土手を抜け、坂戸方面へ右折。無視して、あえて見なかったが、曲がりしなに、小さなクラクションの音が聞こえた。

そういえば、あの車には見覚えがある。前に来たときにも見かけた。すれ違いのできない土手を、ゆっくり走っていた。ま、お互い様だな。それにしても、危機一髪、木に駆け上がったニャンコは、どうしたろう。気になり、車をゆるゆる走らせる。居た。木の又でうずくまっている。可愛そうに、下りられないんだ。

少し先の、土手が広くなったところまで走った。車を止め、水際の雑木などを撮った。しだいに、薄い雲がかかってきた。日差しが弱い。写真は駄目だ。引き上げよう。

同じ道を戻った。また、猫のことが気になった。遠くから、木の又を、じいっと見た。横で車を止め、さらによく見た。いない!自力で下りたようだ。あのままなら、消防署へ連絡して、助けてあげよう。取り越し苦労だった。そうだ、あのニャンコにも、見覚えがある。川原の草むらで、遊んでいた。いいや、そんな気がしただけだ。





2007.1.22(月)晴れ。入間川歩行、番外、小畔川。右岸、鯨井付近。十一時半から一時十五分。

対岸の、ほっそりした赤白の鉄塔。昨日、手前の雑木越しに撮ったが、気に入らない。再度の挑戦。





2007.1.25(木)晴れ。風が冷たい。入間川歩行、番外、小畔川。右岸、鯨井付近。九時半から十二時。

右岸の土手、八幡橋の少し先で工事中。迂回して、鯨井中のほうから回りこむ。遊水池沿いの広い道路、路肩に車を止める。池を覗いてみるつもりだったが、柵の番線に、立ち入り禁止の看板。平日で、人気がない。目立つので、自重する。

少し先の、精進橋際に、ガードマンがいる。歩いていく。話しかける。途中まではいけるようだ。車を土手に入れ、水門の先に止める。土手を、八幡橋のほうへ向かって歩く。川原に、種類のちがう雑木が並んでいる。土手を斜めに下りる。

右岸、金屏橋から八幡橋、さらには、精進橋までの水際には、雑木がたくさんある。なぜ、ここの雑木だけが、生き残っているのか?治水上の理由があるのかもしれない。今日もまた、一本一本見てまわる。

中に、変な木があった。いや、木が変なのではない。根本近くに、木片がくっついている。近づいて、よくみる。あきらかに、人間が、釘で打ちつけたものだ。さらには、胸の高さ、ぶっとい釘が二本、幹に食い込んでいる。

誰が、何のために、こんなことをしたのか?そうおもいながら、釘を、指で引っ張った。全然動かない。胸に、痛みを感じた。ふざけたことをしやがって!憤慨した。生木に、釘を打ち込むなんて、まともな神経じゃない。ホームレスの仕業だな。掘っ立て小屋を建てたにちがいない。

川原のホームレスに偏見をもっている。別に、危害を加えられたわけでもないし、迷惑をこうむったわけでもない。ただ、橋の下を占拠しているのが、気にくわない。周りをゴミだらけにしているのが、不愉快だ。しかし、それしきの理由で、目の敵にするのは、いかがなものか。彼らにとって、掘っ立て小屋は、生命にかかわる問題だ。

自分が、ホームレスだったら、雨風を防ぐために、生木に釘を打ち付けることくらい、平気でやるかもしれない。いや、そうじゃない。引き払うときに、釘を抜けばいい。生き物に対する配慮がなさすぎる。

ことは、ホームレスに限ったことではない。人間や文明にかかわることだ。ミザントロープには、理由がある。足元をみた。登山靴で、雑草を踏みつけている。なんとも言えない気持ちになった。やる気がなくなった。





2007.1.26(金)晴れ。風もなく、暖かい。入間川歩行、番外、小畔川。右岸、小坂橋付近。十時半から十二時。

右岸、小坂橋付近の水門。土手の待機場所に、車を止める。対岸を見ながら、川シモへ歩く。これといったものはない。

左岸、精進橋の下が、ゴミだらけ。ホームレスの生活用具が取り散らかっている。もっとも、姿を見たことはない。ためしに、近くまで行ってみようか。いや、やめておこう。

土手を斜めに下りた。冬場の渇水で、川床が、一部露出している。中州のような感じになっている。渡れるところへ、回り込む。柔らかな砂地。横で、音がする。振り向くと、水溜りから、シロサギが飛び立っていった。眼で追う。はじめは、長い首が、ひょろひょろしている。しかし、すぐに、アゴの下に折りたたんだ。理にかなった、見事な姿だ。

向き直った。周りを見回した。これといった景色はない。ただ、川の流れが、冬空を映して、青い。それに、静かだ。中州の先端まで行き、川カミの小坂橋を眺めた。水門の下あたりから、鉄塔をからめて、撮った覚えがある。あれしかないな。土手下の道を、ゆっくり戻った。





2007.1.27(土)晴れ。暖かい。三月下旬の気温だという。入間川歩行、番外、小畔川。右岸、小坂橋付近。十時から一時。

寄り道。新清掃センターの敷地に入る。遊水池沿いに歩く。奥のほうに、鴨がたくさんいた。近づくと、一斉に飛び立ち、池の真ん中に着地。百、いや、二百はいる。

遠くで、重機が、波消しブロックをダンプに積み込んでいる。機械音が、かすかに聞こえる。ただただ、だだっ広い。鉄塔群が横切っているほかには、なにもない。まったくの更地。とはいえ、どういうわけか、雑木が二本、池沿いに立っている。支え木をしているから、植え替えられたものだとおもう。

カメラをむけた。一本は、枯れている。しかし、もう一本は、背の高い木で、枝が天をついている。そこへ、どこからともなく、ムクドリの一団が、押し寄せてきた。みなして、てっぺんにとまり、騒々しい。人間の気まぐれで、生き残った。ありがたいとはおもわないが、鳥たちには、よかったのかもしれない。

移動。小坂橋を横切り、水門横の、退避場所まで行く。車から下り、戻る形で、土手を歩く。対岸に、白鬚神社の大ケヤキが見える。粘って撮るが、なんとなく、不安。撮れた気がしない。案の定、全滅。望遠で撮ったのがよくない。それよりも、構図が、お粗末。

帰り道。畑に、菜の花。急遽、車を路肩に止めた。カメラを手にして、外へ出た。真正面から、衒いなく撮った。





2007.1.28(日)晴れのちくもり。薄い雲がかかっている。入間川歩行、番外、小畔川。鎌取橋、および、大谷川の新水門。十時から十二時。

入間川、左岸、雁見橋際から土手に入る。平塚橋際を突っ切り、平塚新田、氷川神社の手前で、土手を斜めに下りる。さびた案内板がある。平塚橋から落合橋までは、埼玉景観100選に択ばれた、彼岸花の名所。句が添えてあった。

移動。小畔川、右岸、平塚地区の農地へ行く。トラクターが、何台か、動いている。ポンプ小屋があるので、見にきたのだが、なんとなく気乗りしない。ろくに見もしないで、引き上げ。

県道に出る。小坂橋際を右折。土手を走り、鎌取橋まで行く。橋を渡り、左岸の橋際広場に車を止める。外に出て、あたりを歩く。

増水で、流失するかもしれない冠水橋。木橋を、写真に収めたい。だが、どうにもこうにも絵にならない。鎌取橋、か。対岸に、葦を刈に行くための生活橋だった。いい名前だ。

車を止めた脇に、不法投棄されたゴミが山積みになっている。行政のステッカーも貼ってある。ステッカーなんか、意味ないだろう。捨てた奴が、読むわけがない。となると、予防効果、というわけか。丸太の柵が、一本抜かれている。土手は通行止めだが、土手下の道は、いけそうだ。

本来なら、左岸の土手も通行禁止。それが、先日、ラジコンをやっていた。どうやって、車で入り込んだのだろう。なるほど、杭をぬいたわけだ。左手は土手、右手は立ち枯れた葦。視界はない。行き止まりまで行く。ちょっとした広場になっていた。

土手に上がった。目の前に、白い格納庫。眼下には、ヘリポートが広がっている。初めて目にする景色だ。カメラを構える前に、目で構図を探った。写真にはならない。土手を、ぶらぶら歩き出した。越辺川の土手と直角にぶつかっている。

去年、このあたりは、水門工事で、通行止めだった。ひろびろとしていて、気持ちがいい。今日は、散歩やジョギングの人が、行き交っている。その昔、ここで、小畔川と越辺川、さらには、入間川までもが、合流していた。いわゆる、三川合流点。そのため、毎年毎年、洪水が絶えなかったそうだ。

小畔川が、不自然なほど、強引に曲げられている。それが、土手の上から、手に取るように見える。少しの距離、越辺川と並行させ、落合橋の下辺りで、無理なく合流させる。先人の考えた治水計画が、功を奏し、洪水はなくなった。なるほど、景観よりは、人間の命や生活のほうが大切だ。異論はない。

同様に、入間川も、落合橋付近で、ほぼ九十度の角度で曲がっている。一キロほど、越辺川に並行し、釘無橋付近で合流する。ふと想った。みっつの川が落ち合う。誰が命名したのか、落合橋。じつにいい。

越辺川の土手に入り込んだ。新しい水門が、完成したようだ。また、ぶらぶら歩き出した。





2007.1.30(火)晴れ。雲ひとつない青空。三月下旬の陽気。暖かい。入間川歩行、番外、越辺川。右岸、大谷川水門付近。十時から十二時。

小畔川右岸から、落合橋に出る。橋の半ばで、右折。越辺川の土手に入る。正確に言えば、小畔川の左岸でもある。

橋際に、大きな碑がある。ああ、これだな。原次郎先生治水彰功碑 建設大臣中村梅吉謹書、とある。このあたりの河川改修工事に尽力した名士だ。記念にと、カメラを向けた。ファイダーをのぞくと、碑の後ろに、掘っ立て小屋がたっている。あんなところに、あったかな?冬枯れの川原。目に付きすぎる。

対岸で、護岸工事をしていた。波消しブロックを水際に並べている。撮りながら、近くまで行く。新しい水門の前だ。なるほど、合点がいった。大谷川が、越辺川に合流する。その際、水流で、護岸がえぐられる。まさに、「波消し」で「ブロック」するわけだ。

まずは、重機が、ダンプの荷台から、ブロックを下ろす。それを、クレーン車が吊り上げ、川の中に沈める。分業が徹底している。どうでもいいことに感心しながら、シャッターを押し続けた。

帰り道。新清掃センターの脇を通った。案の定、敷地内の波消しブロックが減っている。ここから、ダンプでピストン輸送している。だだっ広い更地に、大量の波消しブロック。建設工事には、用のない代物だろう。これで、疑問が解けた。気分がいい。





2007.1.31(水)晴れ。無風。暖かい。入間川歩行、番外、小畔川。左岸、小坂橋から落合橋。九時半から十二時。

まっすぐ、下小坂の白鬚神社まで走った。大ケヤキを、先日は撮り損ねた。今日は、そばまで行って、ゆっくりみてみよう。鳥居の横に、案内板があった。ざっと読む。右が赤欅、左が青欅。幹周りは、ともに六メートル、高さは、三十メートルを越える。樹齢は、五百年以上。何とか、写真に撮りたいものだ。

いろいろやってみる。だが、どうにもロケーションが悪い。構図が見つからない。道路に出たり、土手にあがったりもした。それでも駄目。巨木を、風景の中に取り込めない。

移動。鎌取橋際の広場へ行った。車を止め、左岸の土手を、落合橋へ向かって、ゆっくり歩いた。土手は、車両通行禁止。途中からは、広めの砂利道になっていた。暖かい。ヘリの格納庫あたりで、川原へ下りる。一面枯野。人の入った跡がない。少し踏み込んだが、枯れ草がまとわりついてくる。やめよう。土手下の道を、後を振り返りながら、戻った。

かなり歩いた。とはいえ、まだ十一時過ぎ。引き上げるには早すぎる。鎌取橋を渡った。右岸の土手を走り、落合橋に出た。左折して、またすぐ左折。越辺川の右岸。大きな碑よりは、川原の掘っ立て小屋が気になる。日差しを浴びているせいか、汚らしい感じはしない。とはいえ、カメラを向ける気にはなれない。

土手に車を止め、外に出た。対岸の護岸工事を、ゆっくり眺めた。何が面白いのか、写真を撮っている奴が居る。あの野郎、きのうも来ていたな。工事人たちの声が聞こえるようだった。





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