此岸からの風景 www.sekinetoshikazu.com since 2005

top photo essay gallery 花切手 blog biography contact

 Photo essay<入間川写真紀行>

2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012


2005.11.1(火)晴れ。入間川十番、八瀬大橋。九時から十二時。

八瀬大橋を渡る。回り込むような形で、右岸の橋の下へ行く。廃線を歩く。産廃の丘にも登る。





いい天気だというのに、体調がよくない。痔が悪化している。それに、左目が、また濁りだした。気分もさえない。早々に引き上げ。





2005.11.3(木)曇り一時晴れ。入間川歩行はお休み。

2005.11.5(土)晴れ。入間川十番、八瀬大橋。九時から十一時。

八瀬大橋を渡る。橋際の信号を通り過ぎ、すぐに左に折れる。刈り取りの終わった田んぼ。その間の細い道を行く。電波塔が、青空に際立っている。休耕田にはセイタカアワダチソウ。ススキの穂も見える。

広い農道に車を止め、廃線の上を歩きだす。気分はいい。





今年の春先だ。雪の降ったあくる日、写真を撮りに来た。静かな所で、思いのほか気に入った。そのときに思った。今度、天気のいい日に、ゆっくり歩いてみよう。

西武安比奈線。廃線マニアの間では有名なところらしい。ネット上に、その種のウェブサイトが幾つもあり、安比奈線についても、詳細なレポートが、写真入りで公開されている。由来、現況を知るのに参考になる。

鉄路は、背の低い雑草に覆われていた。枕木も見えない。ただし、真中に、ヒトの歩いた跡がある。一直線に続いている。「線路内立ち入り禁止」。看板が目に付いた。なに、かまうものか。行けるところまで行ってみよう。

廃線は、細い道路で何箇所も寸断されている。そのたびに、民家の庭先に入り込み、迂回する。足元には、アカマンマ、ヨメナ、センダン草、ほかにも、名前の知らない小さな花が、たくさん咲いている。

少し先で、線路と枕木が、あらわになっている。なにかと思えば、下に、干上がった水路があり、ちょっとした鉄橋になっている。線路は、赤茶色。だが、しっかりしている。それにくらべ、枕木のほうは、完全に、朽ち果てている。渡ってみようか。一歩一歩、慎重に進む。バランスをとるのが難しい。さして高い所ではないが、転落したら、洒落にならない。

無事に渡り終える。振り返り、写真を撮る。さらに行く。また、柵がある。しかし、これ以上、前へ進めない。というのも、左手は民家、右手はコンクリの細長い塀。迂回することさえできない。もういいだろう、ずいぶん歩いた。それでも、いちおう、背伸びして、柵の向こう側を確認した。道を挟んで、線路が続いている。ただし、両脇に家が建っている。見通しはよくない。それに、どこから入り込むのか、見当もつかない。やはり、またの機会にしよう。

向きなおった。今歩いてきた、廃線の道が、一直線に続いている。その先には、こんもりとした林があり、中をぬけていけば、入間川に出る。左目不調。さらに、痔まで出たが、気分の落ち込みはない。最高の、小春日和だ。






2005.11.6(日)曇り。夕方からは雨。入間川歩行はお休み。

八時半にアトリエを出る。親水公園南側広場へ行く。車の中で、写真紀行(土曜日分)を書く。十一時引き上げ。

午後は昼寝。三時半頃起きる。写真紀行(10月分)の印刷。A4で、17頁しかない。しかも、内容がうすい。挿入写真も、新しいカメラで撮ったせいか、色合いにばらつきがある。最初のうちは、明らかに失敗。色が濃すぎる。不自然。けっきょく、カラー、コントラストのレベルをゼロに戻した。標準仕様が、一番いい。とはいえ、露出補正は必須。晴天時、0.3オーバーで、ちょうどいいかもしれない。

プリンターから出てきた用紙を、順番に並べる。少し乾かし、クリアブックに収める。収めたところで、今一度目を通す。質、量ともに、貧弱。どこか、うわの空。すぐに、思い当たった。パチンコだ。調べてみると、10月は、7回やっている。回数は、さほど多いとは思えないのだが、あきらかに、集中力をそがれている。写真紀行に、気持ちが入っていない。

文章とは、恐ろしいものだ。書いてないことまで、読めてしまう。





2005.11.8(火)晴れ。入間川十番、八瀬大橋。九時から一時半。

朝の日課、数息の最中に、今日一日の予定を、ざっと思い描く。水上公園に車を止め、右岸の、関越橋から初雁橋までの土手を歩く。でも、天気がいいのに、景色のよくないところを歩いてもしょうがないだろう。それよりは、関越道の路線橋へ行こう。高い所だから、秩父の山並みが見えるかもしれない。

路線橋の上がり口に車を止めた。舗装された坂を少しのぼる。たしかに、西側の山並みは見える。ただし、民家や雑木が邪魔だ。期待していたほどの景色ではない。何枚か撮ったが、絵にならない。

移動。関越道の側道を走る。行き過ぎたので、消防署の手前で回転。少し戻る。路肩に車を止め、刈り取りの終わった田んぼの畔を歩きだす。

地名は、川越市豊田新田。場所としては、川越南高校の裏あたり。関越道の川越インターへ出る裏道沿いで、昔よく通ったことがある。ぐるっと見渡せるほどの田んぼだが、ポンプ小屋が点在していて、風情がある。





見覚えのあるポンプ小屋がある。写真を撮り始めた頃、手漕ぎポンプを撮りに、何度か来たことがある。十年ほどまえだ。はるか昔のような気がする。

十一時半、集中力が切れた。いったん車に戻る。引き上げには、まだ早すぎる。なにしろ、秋晴れ。最高の小春日和。車を走らせながら思案していた。ふと、「ごっこ村」の看板が目に入った。道路を横断し、川原へと入った。

砂利の敷かれた、ちょっとした広場。そこから、道が何本も出ている。まずは、一番右端の道を行く。竹やぶの中を行くような悪路。ゲートボール場があり、両脇は、柵やロープで囲われた産廃置き場。関越道の橋の下で行き止まりだ。

前に来たときには、不穏な空気が漂っていた。だが、今日は、人の気配がしない。枯れかけた雑木にも、葉がついている。不逞の産廃業者どもは、退去したのかもしれない。

橋の下。鮮やかなブルーシートの小屋が、茂みの中にある。やせた番犬はいないが、足の悪いホームレスは、健在なのだろう。いつ来ても陰気な場所が、今日に限って、どことなく明るい。天気のせいかもしれない。

戻った。右から二番目の道を行く。すぐに行き止まり。というか、産廃業者の敷地にぶつかる。でかい産廃の山が、葛の葉で覆われている。しかし、その後ろには、廃材が積み上げられている。また小山ができるのだろう。回転。プレハブの監視小屋に人影はない。バリケードに使われているトラックも廃車。静かだ。作業は、夜陰にまぎれ、こっそりやっているにちがいない。

戻る。右から三番目の道を行く。これもすぐに行き止まり。崖。河原が見通せる。それにしても、ゴミだらけ。何かを燃やした跡もある。ひどすぎる。話にならない。それでも、いちおう、車からおりる。下水溝があり、どす黒い水が、川に流れ込んでいる。いったんは、河原へ下りかけたが、気分が乗らない。回転。

右から四番目の道を行く。「ごっこ村」の脇を通り抜け、八瀬大橋の下に出る。さすがに平日、バイク野郎の姿はない。産廃の丘に、オフロード車もいない。建材工場のダンプが、のろのろ動いているだけだ。護岸に腰を下ろし、対岸をゆっくり眺めた。





2005.11.10(木)晴れ。スカッとした青空。小春日和。入間川十番、八瀬大橋。九時から二時。

左岸の土手を、八瀬大橋から関越橋まで、歩くつもりでいた。昔、よくジョギングなどをした、なじみの自転車道だ。お目当ては、西側の、雑然とした耕作地に並んでいる電柱。何回も撮っているのだが、脇を車で通るたびに、気になる。





天気がいいせいか、ヒトの姿が目に付く。軽トラで廃材を置きに来る奴。写真を撮っているそばで、体操をやりだす婆さん。残土を運び込む造園業者。犬の散歩、ジョギング、自転車に乗った主婦。次から次へと現れる。なんだか、気持ちが落ち着かない。十一時、移動。

橋を渡り、ふたつ目の信号を左折。荒地のセイタカアワダチ草は、きれいに刈られていた。廃線を横切り、さらに、田んぼの中の小道を、うねうね行く。池辺の集落を抜け、関越道の側道に出る。一昨日、ポンプ小屋を撮ったところだ。気になっているのは、この側道の向こう側。一度や二度は、行ったことがあるはずだ。それなのに、ぜんぜん思い出せない。

関越道の横っ腹をくぐり、反対側の側道へ出る。なんとなく見覚えがある。車を止め、ひと息入れる。田んぼの中の手漕ぎポンプが目に入ったので、何枚か撮る。車を出す。このまま、側道を行ってもしょうがない。それよりも、向こうに見える、白い建物はなんだろう。ハンドルを右に切る。

道路に出る。あっ、この道は知っている。水上公園から来ている道だ。となると、この先に、小学校がある。その信号を、左に曲がればいい。





白い建物は、音大だった。広い道路をはさんで、向かい側が、どっと開けている。鉄塔が際立っていた。





2005.11.12(土)晴れ。木枯らし一号。風が冷たい。入間川九番、関越橋。九時から一時半。

大東東小付近。西側の山並みが、少し見える。雲がいい。





尚美音大の向かい、豊田本のだだっ広い田んぼ。今日も、赤い横縞の鉄塔を撮る。明かりの具合はいいのだが、鉄塔の垂直が出ない。かなり粘ったが、あきらめる。

移動。職安前の、広い道路に車を止める。平日なら、ヒトと車でごった返している場所だ。路上駐車など、思いもよらない。でも、今日は土曜日。閑散としている。これさいわいと、道路を、いま来た方向へ、ぶらぶら歩く。冷たい風が吹きぬけていく。立ち枯れた雑草が、かさこそ音を立てる。木枯らし一号、だそうな。なるほど、冬の気配だ。





川越の市街地が見える。





2005.11.13(日)晴れ。小春日和。入間川九番、関越橋。九時から二時半。

川越水上公園に車を止める。右岸、初雁橋から関越橋まで、水際の枯野を歩く。夏場は、背丈ほどの葦が繁茂している川原だ。久しぶりに足を踏み入れる。

あきらかに、人手が入っている。草刈機で、きれいに刈ってある。広い所なのだから、かなりの労力がいる。何のために、わざわざ鳥のねぐらを一掃したのか、理解に苦しむ。

水際は、ちょっとした崖になっている。首を伸ばし、川の中をのぞく。水量は少ないが、驚くほどきれいだ。その、静かな流れの中に、鯉が群れをなしている。ヒトの気配を嫌って、ここまで逃げてきた。ゆるゆると泳ぐ様が、みずみずしい。

対岸の工場や鉄塔が、川面に映っている。反射的にカメラを構える。ファインダーをのぞく。あとは、枯れ野を、後ろを振り返りながら歩いた。遠くに、初雁橋が見える。車が等間隔で走っていく。その影が、下の流れに反映する。陽をうけ、きらっと光る。

枯野が切れたところに、小さな河原がある。疲れた。ひと息入れよう。どっかと腰をおろした。時計を見ると、十二時近かった。三時間くらい、歩いていたことになる。疲れるはずだ。靴を脱ぎ、ついでに靴下まで脱いだ。風もない。あたたかい。じつに穏やかだ。

これからの予定を考えた。土手の上を歩いて、車に戻る。県道の吉野家で昼食。また、水上公園へ戻る。今度は、東側の、豊田本の田んぼを歩く。遠目から、川越の市街地をねらう。ちょうど、明かりが回ってくる頃あいだ。

腰を上げた。関越道が目の前に見える。その脇の木立から、煙があがっている。ホームレスの小屋のあたりだ。一瞬、火事かと思ったが、そうじゃない。昼飯の支度をしているんだ。

いちおう、河原を歩けるところまで歩いた。土手向こうに、工場の屋根だけが見える。向き直った。木立の間に、水上公園の白いポールが見えた。両方とも、去年、写真紀行を書き始めた頃に撮ったことがある。なに、たいした写真じゃない。そのときに、文章も書いた。こっちも、たいした文章じゃない。いわば、安手のセンチメンタリズムだ。あそこには、もう、二度と戻らない。






2005.11.17(木)晴れ。風は冷たい。入間川九番、関越橋。九時から二時半。

寄り道。八瀬大橋際、右岸の工事中の道。「関係者以外立ち入り禁止」。なに、かまうものか。柵をまたぐ。辺りの様子を窺いながら歩く。道は、安比奈の建材工場まで続いていた。





的場工場団地の西側、左岸、関越橋際に車を止める。橋の下へ下り、河原を、行き止まりまで歩く。少し迂回。今度は、護岸の上を歩きだす。川の水がきれい。浅瀬の鯉が、驚くほど俊敏だ。途中、ホームレスの横を通り過ぎる。スポーツ新聞を広げている。無視。視線を向けることもしない。護岸が一直線に続いている。川が青い。空が青い。

初雁橋が見える。水の引いた川底に下りる。対岸では、重機が荒地を整備している。いや、護岸を作るのかもしれない。足元の悪い水際を歩く。今日は登山靴を履いている。立ち止まる。風が冷たい。背中の汗が、冷えていく。顔をあげ、橋を眺める。ひっきりなしに車が通っている。好きな景色だ。何枚も撮る。だが、どうも気に入らない。川の流れに対して、橋が垂直に交錯していない。右下がりだ。どうしても、間の抜けた構図になってしまう。

護岸に上がった。水門の脇をぬけ、土手下の道に出る。監視塔などを撮りながら、ぶらぶら戻り始める。気まぐれ。高い土手に登る。見通しはいいが、あいかわらず、絵にならない。すぐに、並行している自転車道に下りる。後ろを振り返りながら、歩く。昔、ジョギングで汗を流した道だ。だが今日は、ほとんど心が動かない。それよりも、このあとの予定を考えていた。

車に戻り、初雁橋を渡る。小ヶ谷のラーメン屋で昼飯。ラーメンが、たしか四百円。うまいのか、まずいのか、一度は食べてみよう。

また土手に上がった。真ん中に、散歩道ができている。前を向いて、さっさと歩きたいところだが、ふざけたことに、犬の糞がある。なに、犬が悪いんじゃない。飼い主のマナーが、なってない。足元にも、気を配る。あとは、後ろも振り返らずに、ずんずん歩いた。

一時過ぎ、橋の下のラーメン屋で、ラーメンと餃子を食べた。安いわりには、まずまず。麺は、シコシコしていて、うまかった。帰りがけに、裏手の田んぼに寄ってみた。今日もまた、鉄塔が目に付く。撮るしかないだろう。






2005.11.19(土)晴れ。手がかじかむほど、風が冷たい。秩父颪というよりは、上越からの強い北風。大陸の寒波が居座っているらしい。入間川八番、初雁橋。九時から二時。

的場の浄水場脇に車を止める。寒さ対策。防寒着上下、マフラー、帽子、手袋をつける。初雁橋を渡り、右岸の水深計や鉄橋などを撮る。最高の写真日和。集中して、何時間も撮る。さほど疲れなかった。登山靴を履いていたからかもしれない。横着しないで、まめに履き替えるべきだ。





なじみの水深計は、健在。しかし、今回も、またこの構図。馬鹿のひとつ覚え。同じような写真を何枚も撮っている。





山並みの、一番右。外秩父の笠山。通称「おっぱい山」。この山が見えると、どうしてもカメラを向けてしまう。





初雁橋の上から、川越線鉄橋の全貌を撮るのはあきらめた。背景に立つ鉄塔の垂直が取れない。なかばヤケクソで、川の蛇行を撮った。





2005.11.20(日)晴れ。晴れ。風が冷い。入間川八番、初雁橋。九時から一時半。

右岸、川越橋の際、土手の上に車を止める。西側の景色を見ながら、土手道を東上線鉄橋まで歩く。土手を下る。今度は、河原に下りる。水際を歩いて、川越橋へ戻る。





風が強い。川面が波立っている。よく見ると、波が、川シモから川カミへ向かって動いている。むろん、表面だけだろうが、逆流している。不思議な気がした。顔をあげ、北側の空を見た。上越の山並みに、雲が出ている。南側を見た。逆光の中、川が、浅瀬で音を立てていた。





2005.11.22(火)晴れ。小春日和。入間川八番、初雁橋。十時から一時。

的場浄水場脇に車を止める。初雁橋際から、左岸の土手に入る。川シモへ向かって、ぶらぶら歩き出す。


平日の河川敷クランド。人っ子一人いない。まさに貸しきり状態。白線を利用して、目測の練習をした。




撮るものは、いつも決まっている。鉄橋、鉄塔、それに、今日は青い空。なにか、象徴的な意味があるのだろう。





2005.11.24(木)晴れ。小春日和。入間川八番、初雁橋。九時から十二時半。

川向こうの、小ヶ谷、今成地区の田んぼへ行く。農道を車で流しながら、景色を探す。鉄塔が一基、目に付いた。





移動。上寺山の田んぼへ行く。はじめは、土手の東屋と鉄塔をねらった。しかしどうしても、鉄塔の垂直が取れない。あきらめて、ポンプ小屋を撮る。





十一時半。移動。川越橋を渡り、左岸の土手へ行く。東上線鉄橋へ向かって、目測の練習をする。一歩50cmとして計算。50m、100m、150m、200m、とキリのいいところで立ち止まり、後ろを振り返る。目で、距離感をつかむ。鉄橋までは、約335m。遠いようで、わりと近かった。





2005.11.26(土)晴れ。小春日和。入間川七番、川越橋。九時から十二時半。

右岸、川越橋際。土手の上に車を止める。渇水した河原へ下りる。川シモの雁見橋へ向かう。いい天気だ。これほど穏やかな日も、めずらしい。それに、人の気配がしない。






2005.11.27(日)晴れ。小春日和。入間川七番、川越橋。九時から一時半。

右岸、雁見橋際。土手の上。自転車道の脇に車を止める。土手を下りる。護岸から、雁見橋を撮る。





移動。東側の上寺山の田んぼ。先日撮ったポンプ小屋より、さらに市街地よりの農道を、車で流す。星野女子高の銀杏が黄色い。そばまで行ったが、ロケーションが悪い。通り過ぎる。さらに行くが、ますます住宅がたて混んでくる。一枚も撮らずに、別の道を通って戻る。

右岸、川越橋付近。東側の農道に車を止める。下から、土手の東屋を撮る。土手に上る。市街地のほうへカメラを向ける。





最近、記述に、手を抜いているようで心苦しい。一言だけ、言い訳をする。連日の歩行で、多少疲れている。いいや、じっくり腰をすえて、書く気分ではない。写真撮影に夢中、というほどでもないが、今は、撮ることに集中している。





2005.11.29(火)曇りのち晴れ。風は強いが、さほど寒くない。入間川六番、雁見橋。九時から十時、一時半から三時。

右岸、雁見橋付近の土手。土手下の道に下り、川シモを撮る。とたんに、陽が翳ってきた。予報では、午後からは晴れ。それまでの時間つぶしだ。防寒ジャージーなどを買いに行く。





一時半、先ほどの場所にいる。予報通り、見事に晴れた。青空にはぐれ雲。川原を、電波塔へ向かって、歩き始めた。





露出補正、プラス0.7。ほぼ、思い通りの色合い。

もっとも、あとで「アドビ」で画像補正をする。

明るさ、コントラストを、多少いじる。





2005.12.1(木)晴れ。朝のうちは雲が多い。入間川六番、雁見橋。九時から二時半。

左岸、雁見運動公園付近に車を止める。土手下の道、車止めのコンクリブロックを撮る。





移動。西側の鯨井の田んぼへ行く。だだっ広い所。農道を、車で流しながら、景色を探す。外秩父の山並みが、青空にくっきり。ただし、これといったものが、目に入らない。鉄塔、ポンプ小屋、電信柱。どれもこれも、絵にならない。いや、誰かに見られているような気がする。なんとなく気分が乗らない。





移動。小畔川の遊水池。路肩に車を止める。橋(精進場橋)の上から川シモを眺める。鉄塔が、青い川面に映っている。天気がいい。気分もいい。舗装された土手の上を、歩きだす。背中に陽射しを受ける。あたたかい。防寒着を脱ぐ。水門まで行って、戻ってくる。





小畔川。落合橋の先で、越辺川と合流する。ということは、越辺川の支流だ。もっとも、越辺川も、釘無橋の先で、入間川と合流する。だから、小畔川も、入間川の支流と言って差し支えない。ずうっと、そう思っていた。

小畔川。アトリエの裏を流れている小川。一番身近な川。絵になるような景色はないが、いつかは、丹念に歩くつもりでいた。本当のことを言えば、最後の最後まで、残しておきたかった。だが、その「いつか」が来た。わりと早かったな。

午後の、二時。陽は、まだ高い。きのう撮り損ねた、電波塔を撮りに行こう。






2005.12.3(土)晴れ。昼ごろから雲が出る。入間川六番、雁見橋。九時から十二時。

右岸の土手、上寺山用水堰付近に車を止める。辺りを歩く。





同じような構図で何枚も撮る。しまいには、善し悪しの判断がつかなくなる。それに、いい天気だというのに、気分が、いまひとつ乗らない。

歩行も写真も、すこし飽きたようだ。こういうときは、無理をしない。気分転換。買い物にでも行こう。





2005.12.4(日)曇りのち小雨。寒い。入間川歩行はお休み。

今日は午後から崩れるらしい。ちょうどいい、骨休めだ。連日の歩行と撮影で、少し疲れた。

生活用品を買いに、スーパーや電気店へ行った。曇り空の中、どこもかしこも、車と人であふれていた。冬支度、というわけか。





2005.12.6(火)曇りのち小雨。寒い。入間川歩行はお休み。

午前中は、2004想念草子(1)の校正。午後は、買い物。前から気になっていた「ワカバウォーク」へ行く。映画館などもある大型の商業施設だ。

「VAN」の文字にひかれて店に入った。ワゴンセールの、灰色のVネックセーターを買った。千円。あまりにも安い。レジで、店の人に聞いた。昔の「VAN」が復活したのかと思ったからだ。いや、そうではなく、「VANジャケット」から分かれた、「VANファミリー」なのだという。店長と思しき若い男性は、愛想がいい。丁寧な言葉遣いだった。

Lサイズのセーターは、案の定、大きすぎた。だぶだぶで、みっともない。少し失望したが、すぐに機嫌をなおした。安いわりには、モノがいい。それに、ほのかに、オイルのような匂いがする。昔の、「VAN」のセーターの匂いだ。





2005.12.8(木)晴れ。日中は暖かい。入間川歩行六番、雁見橋。九時から十二時半。

はじめは、西側の鯨井の田んぼへ行った。歩き足らないような気がしていたからだ。あぜ道に入り込み、執拗なほど、鉄塔をねらった。

移動。広い道路に車を止める。向かいは、清掃センター建設予定地。広大な敷地が、柵で囲まれている。整地されただけで、まだ何も建っていない。縦断する鉄塔が際立っている。車で、何回も横を走っている。だが、歩くのは、今日がはじめてだ。





柵が切れた。角は資材置き場。轍のついた道が、土手まで続いている。向き直った。番外、小畦川だ。





舗装された土手道を、精進場橋へ向かって歩いた。右手には、更地の建設予定地。一望できる。さらに行くと、土手下に、遊水池。前来たときに比べると、水鳥の数が少ない。葦の茂みもなくなっている。なんとなく、のっぺらぼうな感じ。

車を目で探した。更地の向こうに、小さく見える。ただし、突っ切るわけにはいかない。柵で囲まれている。遊水池の周りを、ぐるっと、迂回していくしかない。ちょっと、うんざりした。時計を見たら、十二時を回っている。撮りながらとはいえ、三時間以上も歩いている。

急に疲れが出た。もう、写真を撮る集中力がない。周りの景色が目に入らない。うつむきかげんに、さっさと歩いた。とはいえ、精進上橋付近で、一度だけ立ち止まった。雲が、鉄塔にかかっている。それに、川鵜が三羽、日向ぼっこだ。





2005.12.10(土)晴れ。日中は、さほど寒くない。番外、小畔川。九時から一時半。

右岸、八幡橋の少し先、土手の路肩に車を止める。川カミの金塀橋まで、歩きながら撮る。橋を渡り、左岸を戻る。





小畔川の土手道は狭い。車のすれ違いができない。まずは、駐車場所の探索。区分けと命名は、そのあとでいいだろう。





2005.12.11(日)曇り。真冬の寒さ。入間川歩行はお休み。

九時過ぎにアトリエを出た。天気がよくない。車の掃除でもしようか。いったんは、親水公園へ向かった。しかし、すぐに気が変わった。寒い中、掃除なんかやってられない。

歩行の下見だ。雁見橋から平塚橋の東側。だだっぴろい田んぼが広がっているが、地形も景色も、まだ、頭に入っていない。車で流してみよう。

いつの間にか、歩行の範囲が、流域に広がっている。





2005.12.13(火)晴れ。寒い。入間川五番、平塚橋。九時から十二時。

雁見橋を渡る。右岸の土手道に入る。平塚橋へ向かって走る。西側の山並みが手に取るようだ。思わず、車を止める。





移動。平塚橋を渡る。左折。土手に車を止める。寒風の中、平塚橋を歩く。つかみ所のない景色。最高の写真日和なのに、写真にできない。未練がましく、二、三枚スナップを撮る。

橋の下へおりる。渇水で、干上がった川床を歩く。風がやんだのか?いや、頭の、ずっと上を吹き抜けていく。





2005.12.15(木)晴れ。寒い。番外。二時から三時。

昼過ぎまで用事。一時半を回っていたが、入間川に出ることにした。川越橋を渡る。右岸の土手を、川シモへ向かう。東側の景色を見ながら、ゆっくり走る。田畑の中に、住宅がたてこんでいる。雑然とした感じ。写真にならない。

落合橋の手前で土手をおりる。戻る形で、土手下の一般道を走る。平塚橋を渡る。左岸の土手に入る。川カミへ向かう。シャーペン工場の横で、土手をおりる。上寺山用水堰による。

水量が少ない。堰の上を歩く。立ち止まり、川シモを眺める。川が青い。空も青い。遠くに、平塚橋が見える。気持ちが清々する。カメラを構える。だが、どうしても、絵にならない。ふうっと、上体を右に振る。土手の向こうに電波塔。またか。なに、かまうことはない。撮った。

移動。川原道を走る。雁見橋をくぐる。土手下の道を川越橋へ向かう。浅間堰による。護岸で、自転車のホームレスが、日向ぼっこをしている。少し離れて、車を止める。





黒いワーゲンゴルフが一台、護岸に止まっていた。帰り際、窓越しにチラッと見た。服を着たまま、男女が重なり合っている。一瞬、眉をひそめた。こんな時間から、車の中でいちゃついている。しかし、すぐに思いなおした。若い欲望だ。わからないことはない。それどころか、うらやましい気さえした。





2005.12.18(日)晴れ。強風。最大級の寒波。寒い。入間川五番、平塚橋。九時から二時。

外秩父の山並みが、くっきり見える。寄り道しよう。農閑期の鯨井地区。おりしも、巨大な雲が、空を横切っていく。





移動。小畔川右岸、小坂橋から、土手の上を走る。鎌取橋を渡り、土手下の道を行く。右手に障害者施設、左手は廃棄物最終処分場。すぐに、旧小畔川、大谷川にぶつかる。水門の工事をやっている。土手の向こうは、越辺川だろう。





大谷川に沿って、さらに行く。左手に産廃工場、その隣には、また、障害者の授産施設。そこで行き止まり。引き返そうと思ったが、まてよ、塀に沿った細い道がある。この際だ、行けるところまで行ってみよう。





大谷川の両側には、広い田畑が広がっていた。遠くに、東秩父の低い山並みも見える。しかし、ここはもう、越辺川の流域だ。なに、かまうものか。広い畔道を、縦横に走り回り、絵になる景色を探した。





2005.12.20(火)晴れ。寒い。入間川五番、平塚橋。九時から十一時。

左目不調。それでも、いつもの時間にアトリエを出た。右岸の土手道、平塚橋から落合橋までを、車で流す。群馬、上越の山並みが見える。真っ白。めずらしいことだ。撮るには撮ったが、あまりにも遠い。それに、どうも調子が出ない。目のことが気になっている。早々に引き上げ。

久しぶりに、坊主。アップする写真が一枚もない。





2005.12.22(木)晴れ。今日も寒い。入間川歩行はお休み。

左目、さらに不調。歩行を自重する。とはいえ、気持ちは取り戻した。何か書こう。

ウエブサイトのトップページに、写真を一枚掲載している。去年の春先に撮ったもので、対岸の土手下の道を、遠足の小学生達が歩いている。土手の緑に、赤や黄色の帽子、青やピンクのザックが鮮やかだ。気持ちが、ふうっと軽くなった。

かなり気に入っている写真なので、長い間掲載していた。ところが、最近になって、空の色が気になりだした。どうも不自然だ。とうてい、青空とはいえない。

青い空を画面に取り込む場合、その割合が多くなるにつれ、地上は暗くなる。当然、露出をオーバー気味にかける。しかし、そうすると、空の青さが失われる。これは、カメラの特性であり、致し方のない話だ。

大雑把に言えば、青空と地上の露出を、二で割ったものが、カメラの適正露出となる。青空の割合が多ければ、地上は暗くなる。地上の割合が多ければ、青空が白っぽくなる。件の写真は、地上の割合が多いから、どうしたって、目で見た空の青さが再現されない。もっとも、一番大切なのは、豆粒のような、小学生の行列だ。だから、青空には、多少の不具合を我慢してもらったわけだ。

いいや、去年の春先だ。まだ露出補正などしていない。カメラ任せで撮っていた。撮った後に、画像補正をしていた時期だ。ま、いい。とにかく、空の色にひっかかっている。不自然だ。

最近は、画面全体のバランスを、神経質なほど気にするようになった。たとえば、物体の布置、垂直と水平、天地の間隔、色合い。それらが渾然一体となって、秩序を生み出す。無駄なものは、ひとつもない。「静けさ」を、写真に定着させたいと思っている。

かわりの写真を探した。数はあるが、これといったものが、なかなか見つからない。理想が高すぎるのかもしれない。分身と思える写真は、いくらもなかった。





2005.12.24(土)晴れ。入間川歩行はお休み。

左目不調。歩行を自重する。アトリエで、HP(デジカメ帳)の手直し。午後からは買い物。リーバイスの黒ジーンズ、アディダスのトレーナーを買う。どちらも、安いわりには物がいい。満足。

身なりに無頓着になったのは、いつ頃からだろう。どこへ行くにも、黒のジャージーを穿いていた。そのせいで、ずいぶん甘く見られたような気がする。もっとも、衣服に金をかける余裕はなかった。おしゃれを、封印していたのだ。

ここ何年かは、近くのユニクロで、安物ばかり買っている。上から下まで、ほとんどの物が、五千円以内で買える。安いに越したことはないが、いかんせん、物がよくない。貧相な感じがする。それでも我慢していた。服装なんて、どうでもいい。問題は、中身だ。相変わらず、強がっていた。

先日、「VANファミリー」で、バーゲン品のセーターを買った。千円、安い。もののはずみだった。とはいえ、ユニクロのセーターとは、比べものにならない。はるかに物がいい。あいにく、サイズがL。ダブダブで、外には着ていけない。部屋着にしているが、ニットの感触が、じつにいい。愛着を感じている。

通常の売値は、いくらだったのだろう。おそらく、七、八千円前後だ。ブランド品セーターなら、最低一万はする。そう考えると、高くはない。手の届く範囲だ。

何十年もの間、粗末な衣食住を甘受してきた。それもこれも、芝居のためだ。だが、今となっては、その必要性も消えた。もう、ユニクロで買わなくてもいいのだ。





2005.12.25(日)晴れ。強風。寒い。入間川歩行はお休み。

左目不調。昨日に引き続き、歩行を自重する。HP(デジカメ帳)の手直し。

HP「画像集 デジカメ帳2002-2004」の表題を変えた。「デジカメ帳」という題が、ダサい。「画像集 知らぬ世2002、2003」とした。それにともない、画像も選択しなおした。とはいえ、ろくなものがない。2002年度は20枚、2003年度は60枚、やっとのことで選び出したが、なんだか、とても情けない。やる気がなくなった。

構図というか、バランスがよくない。もっと悪いのは、色合いが非常に不自然。露出補正をしていないのだ。おまけに、画像補正も未熟。よけい、悪くなっている。

データベースから、一枚一枚、引っ張り出し、再度の画像補正を施す。しかしながら、原画がよくない。やはり、補正すればするほど、悪くなる。もう、お手上げ。根を詰めすぎ、左目が重ったるい。適当なところで切り上げた。

それにしても、納得できる写真が、ほとんどない。それもそのはず、まだ、遊び半分で撮っていた時期だ。思い込みが強く、独善的。写真を見る目がない。撮る技術もなかった。

2004年の春に、知り合いの美術家と個展を開催した。飾った写真の多くは、この時期のものだ。まったく、無茶なことをしたものだ。厚顔無恥。冷や汗が出てくる。





2005.12.27(火)晴れ。強風。寒い。入間川五番、平塚橋。十時から十一時。

左目が、少しよくなってきた。思い切って、入間川へ出ることにした。とはいえ、寒さに、身体が臆病になっている。防寒着を二枚、重ねて着た。南極へでも行く格好だな。着膨れて、体を動かすのが窮屈だ。

雁見橋際から、右岸の土手道に入る。今日も、西側の山並みがいい。どれ、一枚撮っていこうか。外に出た。ところが、北西の強風。吹き飛ばされそうだ。それに、考えられないほど冷たい。即座に、指がかじかんでしまった。写真どころじゃない。

作戦を変えた。東側の農地へ下りよう。吹きさらしの土手の上よりは、多少風が弱いはずだ。

一面、農閑期の田んぼ。鉄塔があり、真っ青な空。北風に乗って、雲が来る。勇んで、外に出た。いやぁ〜、ここも寒い。おちおち撮っていられない。すぐに、車に戻る。こうなったら、最後の手段。横着だが、車の中から撮ろう。

農道を流しながら、さらに、景色を探した。場所は、寺山地区。土盛りされた土手が、およそ五、六百メートル、農地を貫通している。なにやら、新しい道ができるらしい。それにしても、なぜ、こんな田んぼの真ん中に、高速道路のようなものを作るのか、理解に苦しむ。しかも、中途半端なままで、もう、かなりの時間が経つ。とはいえ、風景としては面白い。





だだっ広い農地の真ん中に、突如として、高い土手。几帳面なほどきっちりと、番線の柵に囲われている。





2005.12.29(木)晴れ。午前中は無風。午後から強風。寒い。入間川五番、平塚橋。九時から一時。

雁見橋を渡る。右岸の土手道へ入る。堰の手前、流れが真っ青。思わず、車を止める。かなり粘って撮る。





移動。平塚橋際から一般道におりる。寺山地区へ行く。工事中の土手。柵をまたぎ、急な斜面を登る。上は平ら。立ち枯れた雑草が、北風になびいている。ぐるっと、まわりを見回した。たいした景色じゃない。一枚も撮らずに、おりる。

看板があった。道路の断面図が描かれている。左側は、土手の状態。右側は、完成図。ふ〜ん、土手の上に道路ができるんじゃないんだ。造った土手をならし、そこに、道路を作る。「プレロード工法」と書いてある。壊してしまう土手を、なぜ造るのか。よくわからない。

農地を貫通する土手。これも仮の姿。そのうち消えてしまう。とはいえ、感傷的になることはない。万物流転。時の流れをとめることはできない。

移動。落合橋へ行った。橋の下で工事をやっている。水深計の周りが、オレンジ色のネットで囲われている。水位観測所を作っているらしい。お気に入りの風景が、またひとつ、この世から消えた。なんとなく、いまいましい。

落合橋を渡った。川島町井草地区。越辺川の東側の流域になる。だだっ広い田畑を期待していたのだが、民家ばかり。そのうち県道にぶつかる。否応なく、左折。道場橋を渡る。西側の、見晴らしのいい農地に出てしまった。地名は、坂戸市紺屋。何回か来ている。

脇の農道に入り込む。上流の鉄塔や、工事中の橋脚を撮る。疲れている。集中力がない。早々に引き上げ。とたんに、電信柱が目に付いた。真っ青な空。明かりの具合もいい。車の外に出た。こんどは、気合が入った。





ほんとうに引き上げ。広い農道を突っ走る。大谷川沿いの砂利道を、行ったり来たりする。やっとのことで、工事中の水門の横に出る。昼休みなのか、現場には人っ子一人いない。撮っていくか。







2005.12.31(土)晴れ。風が冷たい。番外、小畔川。九時から一時。

小畔川の吉田橋。車でよく通る橋だ。今日は、その上を歩きながら、川シモの東上線鉄橋を撮る。川が青い。とはいえ、心が動かない。あまりにも、見慣れた景色だ。

移動。ひとつ川シモ、金塀橋際から、右岸の土手道に入る。すれ違いのできない狭い道だが、舗装されている。対岸の景色を見ながら、ゆっくり走る。目の前がひらけている。気持ちがいい。

ときどき、緊急時路側帯に車を止め、シャッターを切った。河川管理事務所の電波塔、葉の落ちた川原の雑木、なじみになった鉄塔や電信柱。みな、青空へ向かって、しっかり立っている。風にあおられているのは、自分だけだ。





移動。鎌取橋を渡る。左岸。土手下の道路を、くねくねと走り、工事中の水門に出る。大晦日。現場には、誰もいない。これさいわいと、ゆっくり撮る。

旧小畔川、大谷川沿いの砂利道。道の真ん中に車を止め、外に出る。先日撮った景色を、目で探す。そんなものは、どこにもない。首をかしげながら、辺りを見回す。どうもぱっとしない。

出るときの心積もりは、大谷川の向こう側だった。広大な農地の真ん中に、工事中の橋脚が並んでいる。越辺川の流域だが、寄り道番外編だ。時計を見た。十二時を回っている。もう無理だ。寒いし、疲れている。次の機会ということにして、今日のところは、潔く引き上げよう。

車を出した。正面に、介護施設が見える。その横から回り込んで、また小畔川に戻ろう。ハンドルを切った。とたんに、幹のくねった雑木が三本、目に入った。先日は撮り損ねている。しょうがねぇ〜な。畔道に車を入れた。

外へ出た。北西の風が、はなしにならないほど冷たい。だが、目を凝らすと、遠くに、上越の白い山並みが見える。空は高く、青い。雲ひとつない冬晴れ。気合を入れなおし、撮りだした。撮れたような気がした。

ところがだ、淡い期待は、今回も裏切られた。天地のバランスが悪い。いったい、どこをみて、写真を撮っているのか。天からの叱責をこうむった。

今日で、2005年も終わり。ほぼ一年間、入間川歩行に集中した。と、いいたいところだが、そうでもない。思い起こせば、かなりの期間、ギャンブルにのめっている。ま、それでも、写真と文章に関しては、質量ともに、昨年を大きく上回った。未熟であることにかわりはないが、少しはよくなった。自負。これだけで十分だ。先は長い。



2005-1  2005-2  2005-3  2005-4  2005-5  2005-6

2004  2005  2006  2007 2008 2009  2010  2011  2012



此岸からの風景 www.sekinetoshikazu.com since 2005

top photo essay gallery exhibition blog biography contact

Written by sekinetoshikazu in Kawagoe Japan.
Copyright(C)2018 Sekine Toshikazu All rights reserved
.

inserted by FC2 system